「よくね?」
出典元、きくちゆうき(@yuukikikuchi)氏の漫画「100日後に死ぬワニ」100日目より。ネズミのLINEメッセージ。
ネズミがLINEするとはどういう事だ、という話ではなく、この漫画は動物がしゃべるんですよ、という話もどうでもよく、「よくね?」というメッセージの話。
「100日後に死ぬワニ」。現代日本におけるサクセスストーリー改め壮大な教訓、……な作品。イラストレーターのきくちゆうき氏が自身のツイッターに、一日一話ずつ発表していった漫画で、初めはそれほど知られていなかったが、じわじわと人気を集め、最終的に大きな注目を集めた。最終日100日目は投稿前からツイッターのトレンドキーワードを独占し、通常の「バズる」と言われる現象の二乗ぐらいのバズりを見せた。
なぜそこまで話題になったかは色々と議論を呼ぶところだが、とりあえず「100日後に死ぬワニ」という衝撃的な名前、にも関わらず日々投稿される内容が”死”を連想するものではなく、ほのぼのしたものだった事。そしてもちろん、見やすい絵柄もポイントの一つだっただろう。読者はワニの日常を楽しみつつも必ず訪れるラストを予想し、どうなるかを不安と共に待ち望んだ。そして媒体がツイッターだった事もあり、チェックする人がリツイートで拡散、いいなと思った人が雪だるま式に増えていき、また有名人も少しずつ巻き込んでいったため、最終的にやたらと巨大な雪だるまとなった。
で、ああなって、こうなって、そうなった。が、問題はそこではなく、「よくね?」である。100日目にネズミが送ったLINEメッセージ。このメッセージの前後に、ワニがおそらく車にひかれて死んだ。
春、桜を見た人が綺麗だなと思い写真に撮る。そこまではよく、それを誰かにLINEで送ろうとする。共有しようとする。その心はもちろん、その綺麗な桜を一緒に楽しみたいからである。さて、送った写真に添えるメッセージは……、
「よくね?」でよくね?
頭にそれが浮かんでしまう、浮かびやすい状態になってしまった。それが問題である。
「100日後に死ぬワニ」の100日目は200万以上「いいね」されている。認知度はメジャー級であり、これまでそれについて話していない人であっても知っている可能性はかなり高い。グループLINEなら年齢層にもよるが過半数越えは狙えるだろう。受け取り側が「あ、あのワニと同じだ(笑)」となる確率が非常に高い。つまり今送るなら、なかなかにキャッチーなフレーズと言えるだろう。なので思わず使いたくなる「よくね?」。しかーし、これはだってそうじゃん死亡フラグなんですよ明確に。キャッチーであると同時に、それを人に送るのはどうなの状態になり、あーどうしよ、と頭を悩ませる面倒臭い案件になってしまったのである。ちょっと上手い事を言いたい、ちょうどいいのがある、でもこれは不吉! 嗚呼、こんな普通のひと言が、なんて意味を持ってしまったんだ!
「この桜綺麗でしょ、あと車に気を付けてね」って意味にならないかな、ならないなっ。