「ネコのツメ」
出典元、スクウェアのゲーム「Sa・Ga2 秘宝伝説」より、登場する武器の名前。よく考えると弱そうな名前である。
スクウェアと書いたが現在はスクウェア・エニックスとなっている。通称「サガ2」。発売日は1990年12月14日。初代ゲームボーイのソフトである。前作「魔界塔士Sa・Ga」の正統進化といった形の作品であり、非常に評価が高く、非常に面白い。武器が消耗する、パーティ編成が自由に決められる、といった前作から受け継がれたシステムはそのままに、壮大な世界観、テンションの上がる音楽、王道の父親探しの旅、からの世界救出となるRPGらしいストーリー、また独特のセリフ回しなど、とにかく良く出来た作品である。前作の、挑戦的な造りだったものの荒削りなところがやや目立っていた部分を綺麗に整えて来ている印象を受ける。あの時代に、ゲームボーイでよくここまでの作品を作れたものだと思う。
そしてこの「ネコのツメ」である。パーティメンバーにモンスターや「メカ」を入れる事が出来るぐらい仲間自由度の高いゲームだが、剣やムチならともかく銃や戦車まで出て来るのが「サガシリーズ」である。「ネコのツメ」はおそらくドラクエの武闘家が使う様な武器……、あ、「スト2」のバルログが使っている武器、と言った方が分かりやすいか、あれ系の武器と思われる。普通の武器でもあるがオンリーワンの特徴があり、「すばやさ」が攻撃力に影響するのである。そして「すばやさ」を上げる機能のある「かそくそうち」(加速装置)という装備品がある。つまり……?
しかし「サガ2」とてターン制RPGである。1ターンの間にこちらの4人が一回ずつ、敵も1回ずつ攻撃する。複数回攻撃して来るのはラスボスぐらいだ。「かそくそうち」を使って「すばやさ」を上げる事により、「ネコのツメ」の攻撃力は上がるが、1ターンそれに費やしてしまう。その選択肢からどういった作戦を選んでいくのかがRPGの醍醐味であり、雑魚戦は気にせず攻撃、ボス戦はまず味方を強化してから、など、「ドラクエ」でも「FF」でも同じだろう。それを考えるのが楽しい。そしてこの「ネコのツメ」、「すばやさ」をひたすら上げる事によりべらぼうに攻撃力が上がるのである。最強の武器とも言われている。なのでつまりどういう事かと言うと、ボス戦に「かそくそうち」を複数回使って「ネコのツメ」で攻撃する事により、簡単にボスが撃破出来るのである。これはバグではなく正式な作戦だが、”すばやさが高いと攻撃力が上がる”という特性がまず珍しいし、気にならない。普通は「じゃあすばやさの高いキャラに装備させるか」と思うぐらいである。そして「かそくそうち」、「すばやさを上げるのに1ターン使うの……?」扱いが普通である。しかしもちろん開発側は仕込んで来ている訳で、当時はクチコミなり大技林なりで裏技的に広まった技である。こういう要素がある事自体が奥深さを感じるし、こっそり入れてくるのがニクい。そして知る人ぞ知る戦法として地味な広まりを見せていたのも非常に興味深い。現在では「サガ2」と言えば名前の挙がる話題である。
ちなみにゲームボーイの「サガ」は3作あり、次の作品に「時空の覇者 Sa・Ga3 [完結編]」がある。「完結編」の表記通り、ゲームボーイの「サガシリーズ」はここまでだが、この「サガ3」自体が「サガ1」、「サガ2」と一線を画すゲームであり、少し雰囲気が変わっている。というか実は開発陣が変わっている上にシステムもかなり変えているので、「サガ3はサガシリーズとは別物」と言う人も多いぐらいの扱いになっている。これはそれまで「サガシリーズ」を作ってきた河津秋敏氏が、時期的にスーパーファミコン版の「ロマンシング・サガ」を作っていたせいで、他の開発陣が作らざるを得なかった事に原因がある。しかし開発陣が変わったからってもうちょっと前作から準拠して作れよ、と言いたくなる様な出来である。「サガじゃなくて普通のRPGじゃん」感がすごくある。が、これはこれでいい味のゲームになっていたりもするので評価は人それぞれだろう。ありかなしかで言えばなしだが、面白いか面白くないかで言えば面白い。そのぐらいの位置にある。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。