「すいません、自決しました」
出典元、どこかの掲示板、誰かの書き込み。迷惑度合いの高い奇抜な略し方。
ネットの歴史はもう長いので、ヘンテコな文法でも別々の人が別々の場所で別々の時に、全く同じ使い方をしていたりする。
この書き込みは、とある人がどこかの質問掲示板に、ホームページに日経平均のチャートを表示させる方法を質問した時のものだった。しかし誰も返事をしないまま、というかたった2分後、この書き込みが行われた。
「すいません、自決しました」
なんという悲劇、もっと早く誰かが答えてあげていれば……、ではもちろんない。もちろんない。要するに掲示板で聞いた後も調べていて表示方法を見付け、「自」己解「決」し、略して「自決しました」と書き込んだ訳である。分かる、分かるが違う。が、分かる。
当たり前の事だが掲示板はその後、自決を心配する声……など全くなく、笑いに包まれる。自決した人がどうやって書き込んだんだという話であるが、まあ、表現を間違えたんだろうなということも、分かり切った話である。勘違いされる事を分かってわざと書いたのなら中々に高度なシュールギャグである。しかしある意味、さくっと略しただけだと考えるとスラング的に使われてもおかしくない言い回しでもある、とも思える。武士の自決の意味を知らなければ、なんとなく普通に使ってしまう気持ちも分かるし、多少、使いたくなる略し方でもある。上にも書いた様にネットと掲示板の歴史は長いので、現在検索すると面白エピソードとしていくつか同じ「自決」エピソードが引っ掛かる。今回紹介した日経平均チャートの表示方法とは違うものがあるのでそれは完全に別の話だが、そちらの人もこの人の事は知らなかっただろうし、完全に偶然で同じ使い方をしたのだろう。もちろん、同じ様に笑い話として言い伝えられている。誰も心配などしない。こんなところにネットとしての歴史を感じてしまう。日本語の話なので、日本ネット史の偶発的エピソード、と言えるだろうか。
ちなみに一応、自分で決めることを「自決」という言い方をする場合もあり、完全な間違いではなかったという考察も行われている。こんなひと言に考察もなにもない気もするが、間違いでないのなら間違いだ間違いだと指摘する方が間違いなので、この人はもしかしたら本当に”そういう意味もある”と知っていてこう書き込んだのかもしれない。その真偽は不明だが、この人がその後、ちゃんとホームページに日経平均のチャートを表示できたのかもまた、不明である。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。