「ハイパーテキスト」
出典元、1963年にアメリカのテッド・ネルソンが発案した仕組み。ハイパーなテキスト。
「hypertext」、テキストが”文章”でハイパーが”越えた”なので、文章を超えた文章。こういう固有名詞なので一単語”hypertext”である。ちょっとカッコイイ。どういうものかというと文章と文章を相互に関連付け、結び付ける仕組みである。ちょっと既視感(デジャヴ)を感じるなぁ、という人はもしかしたら、ちょっとキーボードで打った事あるなぁ、なのかもしれない。
書籍でたまにある仕組みで「注釈」というものがある。本文に書かれている内容にもう少し説明が必要だ、しかしそれをいちいち書き込んでいては文章が長ったらしくなってしまう、そんな時に(*1)といった記号を用い、欄外にその説明文章を書いておくのである。気になる人はそちらをチェックしてくださいね、というやり方だが、大体において飛ばすと意味が分からなくなるので気にならなくても読むハメになる。縦書きの場合、同じページの下にそれが書かれている場合が多いが、ページをまたいで後半にまとめて書いてあったりする場合、行ったり来たりが結構面倒臭い。いや、行ったり戻ったりか。注釈は相互に結び付いているものではなく、一方向にのみである。
(*1)ここに注釈が入る。
かつてセガサターンで発売されたゲーム「街 ~運命の交差点~」には、「TIP」というシステムがあった。ゲーム自体はサウンドノベルで、文章を読み選択肢を選ぶ事でストーリーを進めていくというものなのだが、文章の中にやたらと「TIP」が差し込まれ、プレイヤーはいちいちそれを見に行く。本来は補助的な文章でありながら、それ自体が面白い上にそれを読むともっと深く物語を理解出来るため、かなり評判のいいシステムだった。もっとほかのゲームでも採用すればいいのに、と思わなくもないが、テンポは犠牲になるかもしれない。しかしこれも双方向の結び付きとは言えないので、ハイパーテキストとはちょっと違う。
ハイパーテキストにおいては、文章と文章が結び付く事を「ハイパーリンク」と言う。ハイパーリンク?
そう、「注釈」も「TIP」もそんな回りくどい説明をせずとも、このウェブページのリンクが「ハイパーリンク」である。つまり青文字に下線、マウスカーソルを合わせると矢印が指マークになる、これである。「ハイパーテキスト」の話でしょ? という話だが、だからこのウェブページというものが、ハイパーテキストで作られているのである。ハイパーリンク、略して「リンク」で、それで正しい。ウィキペディアのハイパーテキストの項に以下の一文がある。
最も有名なハイパーテキストの実装はWorld Wide Webである。
ワールドワイドウェブ……。「w」が3つだね草不可避www ……は、いいとして「www」ってURLにあるよね。ああ、インターネットって「ワールドワイドウェブ」なんだっけ、略して「ウェブ」か、なるほど、エイチティーティーピーコロン、とか前はよくURL打ち込んでたけど
そ の 「ht」 が ハ イ パ ー テ キ ス ト だ。
httpは、「Hypertext Transfer Protocol(ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル)」の略で、ハイパーテキストの、トランスファー(転送)、プロトコル(ルール)で、ハイパーテキストの転送ルールをそこで宣言していたのである。そしてなんとなく見覚えがあるという人は、おそらく手打ちでウェブページをいじった事のある人かもしれない。ウェブページを形作る言語が、「html」、「HyperText Markup Language(ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)」、つまり「ハイパーテキストで作られた言語」、それを、ウェブページで表示させる様に転送させるルールが、http。そういう仕組みだったのである。という事は、ハイパーテキストで作られているウェブページの特徴って、”リンクする事”だったのね。
「http」も「html」も4単語の組み合わせと見せかけて、「Hypertext」は固有名詞なので「ht・t・p」、「ht・m・l」の3単語である。どちらも明確に「hyper text」ではなく「hypertext」として構文の中にコードされている。インターネットの黎明期から、ずっと。ほらカッコイイ。