「第一話」
出典元、漫画のコミックスで使われる話数表記のひとつ。その漫画の一話目なのか。
漫画において、話数表記はその作品のカテゴリーに合わせた特徴的なものを付けている場合が多く、単に「第一話」とか「Vol.1」とかよりは、その作品特有のものにしてあると読者は少し楽しい。例を出すと、「火ノ丸相撲」なら第1番、「ヒカルの碁」なら第1局、「銀魂」なら第一訓とかである。……訓?
が、その話はどうでもいい。
漫画雑誌に連載された漫画がコミックス化した際の、コミックスに付与される話数表記の話である。そのままじゃ? と思うかもしれないが、コミックスによっては巻ごとに「第一話」からカウントしていく漫画があるのである。つまり一巻を買って「第一話」から「第八話」まで載っていたとして、二巻を買うと「第九話」から始まるのではなく、また「第一話」から始まってしまうシステム。ああ、一話完結ものの漫画ってそうだったりするよね、よね……いやそれがストーリーものでもしれっとそうなっている漫画も多いのである。出版社やレーベルで決まっているくさいのだが、いまいちなにがしたいのかよく分からないシステムである。
というか非常に分かりにくいシステムである。六話の話をしたいとしたら、二巻の六話とか五巻の六話とか言わなければならない。単純に不便だし、自ら混乱を招いているとしか言い様がない。話数がいらないタイプの漫画だとしたら、表記しなければいい。「こち亀」だって話数を載せずにサブタイトルだけ書いていた。ストーリーものなら最初から読むに決まっているし、空白ページがあれば話の区切りという事は分かる。段落みたいなものである。
出版社側の言い分を聞きたいところだが、これは予想するに、例のアレなのではないだろうか。つまり。コミックスが一巻から十巻まで出ていたとしても、どの巻から読んでもいいしどの巻だけ読んでもいい、という小説家が言いそうなアレである。小説がそれを言えるのは、シリーズものだとしても前巻を読んでいなくても理解出来る造りにしているからだったり、そもそも小説は一冊のボリュームが大きいので単巻で考えても長い時間楽しめるからだったりする。というかそれだからまだ許せる。しかしこれがストーリーものの漫画となると、単巻で楽しめたとしても気持ちのスッキリしないものは残るし、あっという間に読み終わって次の巻に行くか一巻から読み直してみるか考えてしまうだろう。前提としてやはり、小説だろうが漫画だろうが続きものの話は、一巻から読みたいのが普通の読者の感覚だからである。
出版社に聞いたとしたら「昔からそうだったので」とか言いそうな話である。また、昔ながらの漫画家も「変わるのが嫌なので」とか言いそうである。昔から不便だったらそれを不便なまま変えずにいる事は進歩を止めているのではないか。利便性の向上とかどうでもいいのか。よく分からないところにこだわる人は居るものである。そういう人の声が大きいと、物事が良い方に変わって行かない。まあしかし実際にそういう主張をしている訳ではないので、憶測で叩くのはやめておこう。ただ少なくともこういった話数表記を、そういうものなんだなと思っている読者は居たとしても、望んでいる読者は居ないだろう。