「率直に申し上げます。私たちの読者の98%は見て見ぬ振りをして、寄付をしてくださいません」
出典元、ウィキペディアの寄付募集表示の文言より。率直な申し出。
定期的にうるさくなるウィキペディアが、またうるささを取り戻している。寄付をしてください、ウィキペディアは皆様の寄付で成り立っています……さいですか。ウィキペディアにどんなにお金がなかろうと、ウィキペディアがどんなに便利に利用されていようと、しょせんはインターネット上のいちサイトである。あくまで他人なのであって、そんな事言われても知らん、そう思う人が大部分を占めるだろう。あ、いや、98%を占めるのだろう。インターネット上のコンテンツというものはそういうものだという意識が足りない。これだけみんな使ってるんだからみかじめ料を払えと言われて払う人は居ない。いや、2%しかいない。まったく、お前はNHKか。
そもそもこれが、ウィキペディアが自力で作った百科辞典だとしたらまだ同情の余地はある。しかしウィキペディアは有志がボランティアで記事を書いているサイトなのである。そしてもちろん、ウィキペディア側も記事を書いてくれた人に報酬を支払っている訳ではなく、場を提供しているに過ぎない。それで「赤字なんです;」と言われても「やめれば?」としか言い様がない。
そんな状況を知っていても知らなくても、これには当然、Google検索上位表示当たり前なんだから広告収入でなんとかすれば? という思考が生まれる。ウィキペディアは以前から広告を貼らないで寄付でやっていく方針を執っているが、それに無理が生じているのだから失敗を認めればいいのに。ウィキペディアが頑張るべきなのは寄付を募るために閲覧ユーザーに不便を強いる事ではなく、広告を貼らないと決めたその決定を覆す努力だろう。
「率直に申し上げます。私たちの読者の98%は見て見ぬ振りをして、寄付をしてくださいません」
しかもこの口調がイラッと来るというおまけ付きである。本気度が感じられないというか翻訳度が勘に障る。本気で丁寧にお願いしようと思ったらこういう日本語にはならないはずである。翻訳だろうがこんな短文、もうちょっとどうにかなるだろう。”目が滑る”という体験をした事がない人には、見事にそれを体験出来る芸術的に下手なメッセージである。泣き落としにも技術というものが必要なのである。もちろん、「たぶん後でも寄付しない」。
またどうせ、突発的に頭に来た大富豪が、逆ギレ気味に寄付してくれて、しばらく落ち着くのだろう。ただ、なくなったとしても、おそらくなめらかに代替サイトが登場してウィキペディアは忘れ去られるだけであり、それはただの自然界の掟である。