「だから行けっ・・・・! 合流して来いっ くそヒーロー・・・・・・!」
出典元、「賭博破戒録カイジ」13巻より。黒服のセリフ。
第3章、「欲望の沼」編のエピローグエピソードでのセリフである。カイジはギャンブル漫画。
地下帝国から期限付きなもののなんとか地上に出た主人公カイジは、一緒に戦った仲間を救うべくまたギャンブルでひと山当てようと企てる。元手もそれほどある訳ではないし、味方もあてもない、そんな中、少しずつ前へ進み、目星を立て、仲間を見付け、策を練り、何度も打ち負かされつつ最後は大金を手に入れるというカタルシス溢れるストーリーだ。いい意味では非常に見応えのある駆け引きと人情味あふれるドラマだが、悪い意味では「沼」との戦いが非常に長く、このエピソードのせいで「沼」という言葉に”終わりなく金を注ぎ込む酷い行為”という意味が付いてしまったぐらい、本当に長い話だった。
そして最後にいざこざはあるものの、仲間である「45組」は救出された。地上に出てきた。無理を言って追加してもらった石田もいた。仲間に感謝のカイジ。感動の再会……!?
しかし、カイジは人が良い、勝負強い、だけでなく、……しょーもないやつなのである。やっとの思いで地上に出てきた仲間に会いに行きたいのに、昨日まであった手持ちの金を、くだらない事で使い果たしてしまっていた。敵である悪徳金融の帝愛グループの黒服も、さすがに今回はお前の勝ちだから会って来い、祝勝会に合流して来いと言う。でもそこで行けない、金がないから。俺ヒーローなのに、ここで奢ってなんて言えないから。何言ってんだ? おめえ……! かぁ~~~っ!
ここで、その事情を聞いた黒服、名も無いモブの黒服が3万円を”くれる”のである。悪徳金融の帝愛が、いくらなんでもここで合流しなきゃ締まらないだろう、と。勝った奴がそんな状態になってたら、してやられたうちらもしっくり来ないとでも思ったのだろう。ただ? 帝愛が? 帝愛じゃねえっ、オレだ、オレがただでやるって言ってんだ。
「だから行けっ・・・・! 合流して来いっ くそヒーロー・・・・・・!」
この心温まるエピローグは反則……! まさに反則……! でしょおー。結果、カイジは3万をもらって仲間と合流し、喜びを分かち合うのである。どんでん返しに次ぐどんでん返し、からの感動、そしてほのぼのエピソードで締め、漫画史に残る展開と言っていいだろう。