「カルピスウォーター」
出典元、アサヒ飲料が販売している飲み物の名前。製造元はカルピス株式会社である。
敢えて詳しく説明する必要もないほど有名な飲み物、カルピス。口の中に変なものが残るという重大かつ致命的な欠点があるにも関わらず、その美味しさから長年親しまれ、飲み続けられている飲み物、カルピス。水で薄めて飲む、カルピス。冷やして美味しい、ソーダで割って美味しい、お酒で割っても美味しい、カルピス。カルピスではない。
「カルピスウォーター」である。
問題は「カルピスウォーター」である。1991年に発売され、大ヒットしたこの商品だが、なにが問題か? 発売された時に誰も違和感を感じなかったのか。いや、普段からカルピスを希釈、水で薄めて飲んでいた人たちに、「あれ?」、「あらら」、という感情が少しは生まれたはずである。生まれなかったはずがない。
問題は二つある。まず一つ。「最初からそれで売れよ」問題。何で元は濃縮タイプなのか。そう、元からあるカルピスは希釈タイプである。やっと発売されたのが「カルピスウォーター」。なにか意味あったの? 元から完成品が出せるならなんで出せなかったの? 省スペース? なら他のジュース類はなんでやってなくてカルピスだけやってるの? 疑問は尽きない。実際にカルピス社に聞いてる人もいるだろうしカルピス社も答えているだろうと思うが、そんなものは信用ならない。この違和感はなかなか他にないものである。カルピスの名前を付けた専用の感情名を付けたいぐらいだ。
二つ目の問題。味の正解が出来てしまった事。「カルピスウォーター」発売の報を聞いて「まずい!」と思った家庭のお母さんも多かった事だろう。いやもちろん、カルピスの希釈割合は決まっていて、書いてある。でもそんなもの、世のお母さんに取っては「それぞれ」や「適量」という言葉でごまかせる。「よそはよそ、うちはうち」とも言える。子どもなんていくらでもごまかせる。世の中、裕福な家庭とそうではない家庭があるのである。それらの家庭の差がカルピスの濃さに影響するか? そんなものYESに決まっている。正しい希釈の割合で、時には贅沢に濃くして飲んでいた家庭もあるだろうが、逆に当然の様に母親が薄~く作り、それこそカルピスは不味い飲み物だと思っていた子どもすらいる。それだけ希釈タイプの自分で薄めるカルピスの濃さには家庭差があったのだ。それを、公式で、答えを出してしまった。「カルピスウォーター」を一度飲んだらもう、自分が今まで飲んでいたカルピスがどれだけ薄められていたか、分かってしまう。母親にしてみれば、子どもに気付かれてしまう。「カルピスウォーター」発売は、一つの事件だったのである。
「カルピスウォーター」、業の深い飲み物である。そう、初めて見た時の感情に名前を付けよう。
「カルピスウォーター違和」。