「いや、そのりくつはおかしい。」
出典元、藤子・F・不二雄の漫画「ドラえもん」より。ドラえもんの、のび太への真顔つっこみ。
「ドラえもん」自体について説明をする必要は全く感じないので、そこら辺は省く。みんな知ってる「ドラえもん」である。ただ原作の漫画と、アニメとではちょっとだけ違うところがあるので少しだけ注釈を入れてみる。大きいところでは「しずかちゃん」を「しずちゃん」と呼んでいるところが違うだろう。アニメしか知らなくて、漫画を読むと少し驚く。そしてわずかな差だが、どらえもんの性格がやや、つっけんどんである。口調も強めであり、のび太へのつっこみも辛辣である。今回のセリフも、辛辣というほどでは無いが遠慮のなさはなかなかハイレベルであり、漫画版ならではのスピード感を楽しめる。
長いのではしょるが、のび太の言い分はこうだ。学校から帰って昼寝をする、友だちと遊んで昼寝をする、夕食のあとはテレビを見る、テレビを見終わったら寝る。
「これじゃ、勉強の時間がないのもあたりまえだ。」
そしてどらえもんのつっこみがこれである。
「いや、そのりくつはおかしい。」
うん、おかしい。何回寝てんだよと。遊ぶ時間やテレビを見る時間を勉強に充てろよと。まあ当然のつっこみである。しかしこれがまたのび太の本気で言っている感じと、ドラえもんの真顔での冷静なつっこみがシュールな展開を見せており、原作漫画の「ドラえもん」ならではの味を出している。
そしてこのフレーズの汎用性の高さである。
検索すれば分かるが、このシーンのコラージュは大量に作られている。とにかくのび太が”説得力がありそうに見せかけてやっぱりなんかおかしい事”を訴えまくり、最後にドラえもんが「いや、そのりくつはおかしい。」で締めるコラである。このつっこみはいろいろなものに使えるため、非常に汎用性が高い。今どきで言えば、ソシャゲで300円のガチャが10連ガチャだと11回引ける、お得だから引くに決まってるじゃないか、みたいなものに使われていたりする。もちろんそれには啓蒙の意味も入っており、どらえもんからの「いや、そのりくつはおかしい。」をいただくためのコラである。ドラえもんに言われると説得力がある。……と言うより、のび太のセリフを敢えて無茶な理屈のものにしているとつっこみの鋭さが増すというか、まあとにかくそっち系で有名になってしまったシーンである。
のび太はみんなも知るなまけ者なので、基本はしょーもない奴である。そしてここで言うなら”勉強しない”言い訳をつらつらと述べる。しかしコラの材料にされるのは結構現実にある、大人もやっているしょーもない、”のび太的なしょーもない”行為である。ここに当てはめてみて、ドラえもんにつっこんでもらう。いつの間にかなにかに熱中しすぎていて、しょーもない事を当たり前の様に日常生活に取り入れてしまっている人には、特に効果的な指摘となるだろう。漫画の威力というか、ドラえもんの威力というか、シンプルだが強力なセリフの威力、だろうか。「自転車が古くなって来たんだ。最近、ボクの好きなメーカーの新作のロードバイクが出ただろ。50万円もするけど、家計を切り詰めればいいだろ。ファンとしては買うべきだと思うんだ」。ドラえもん曰く、
「いや、そのりくつはおかしい。」