「こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です。
この ぶんょしう は いりぎす の ケブンッリジ だがいく の けゅきんう の けっか
にんんげ は もじ を にしんき する とき その さしいょ と さいご の もさじえ あいてっれば
じばんゅん は めくちちゃゃ でも ちんゃと よめる という けゅきんう に もづいとて
わざと もじの じんばゅん を いかれえて あまりす。
どでうす? ちんゃと よゃちめう でしょ?
ちんゃと よためら はのんう よしろく」
出典元、5ちゃんねるスレッド「【ネット】「ウィキペディアが与える影響を調べるため」学生がもっともらしい嘘の書き込み 多数の欧米大手紙がだまされて引用」より。どこかの誰かの書き込み。
これはパッと見、なにを言っているのか分かるが、よく読むと意味が分からないという驚くべき文章である。……。
パ ッ と 見、分 か る が、よ く 読 む と、分 か ら な い。
変な文章があったとしても普通”逆”であり、しっかり読んだ方が意味不明なのは中々のクレイジーっぷりである。ただし、再度パッと見する事で結局意味は分かるので、取り立てて問題はない。なんだこの文章は?
まあそれは、ここに書いてある――書いてないが、書いてある通り、この文章はイギリスのケンブリッジ大学の研究結果で、人間は文字を認識するときその最初と最後の文字さえ合っていれば、順番は滅茶苦茶でもちゃんと読めるという研究に基づいてわざと文字の順番を入れ換えてある、……らしい。でたらめに入れ換えたのではなく、文節の最初と最後の文字は正しく書いてあるため、結構ちゃんと計算して作られている。まあ、そんな研究が本当にあるかどうかは、この書き込みだけでは信用ならない話だが。
こういったものがなにかに応用出来れば面白いのだが、特に思い付かないのが最大の難点か。ちなみにこの書き込みは2009年のものなので、10年経ってもこれを使った技術はなにも開発されていないんだろうなぁ……、と予想出来てしまう。凄いけど役に立たない技術というものは世の中にあってしまうのである。
一応細かいところを挙げるなら、文章から漢字を除外してひらがなとカタカナのみを使っているのがコツか。漢字があるとどうしても最初と最後の文字を固定するのが難しくなってしまう。ただしそれにより文章全体が幼い印象になってしまうため、つまりこれはイギリスで開発されただけあって、日本語には向かないやり方という事なのかもしれない。アルファベットのみなら凄くよく合いそう。
認識の間違いというのは日本人だとよくカタカナでやりがちである。文字だけで認識していて耳で聞くことのなかった用語を、初めて耳で聞いた時に「えっ!?」となる。「ブロマイド」を「プロマイド」と覚えていたとか、「マニキュア」を「マニュキア」と覚えていたとか、事実が判明した瞬間がどれくらい恥ずかしい場面だったかによって簡単にトラウマになれる素質のあるテーマである。
……ちょっとだけ似ているものがあったかもしれない。それは日本語入力システムの誤入力訂正システムで、ローマ字の打ち間違えを勝手に判断して正しく変換してくれるという機能である。「わかりました」と打とうとして、ローマ字入力で「wakarimastia」と打っても、ちゃんと「わかりました」に変換してくれたりする便利機能である。場合によってはお節介機能でもあるのだが、まあ、あなたたちが進化するとしたらそのぐらいしかないよね、と思う機能でもある。このイギリスの研究結果に文字の表記としては凄く近いが、本質的には全く関係ないというのが凄い。
ネタとしては面白いが、せめて遊びに使えないものだろうか。
「そっくちょに もしうあまげす。わしたちたの どしくゃの 98%は みてぬみふしりをて きてふをしくだいませさん」
うーん。