「パンの原料の小麦粉すら麺類として主食にする我々
視野の広さたるや」
出典元、2chスレッド「深夜においしそうな画像貼るやつなんなの」より。どこかの誰かの書き込み。
いや、世界的に見てどのくらいそれが凄いのかは分からないが、勢いで納得させられそうな名言である。名言である? というかうどんやそばはともかくラーメンは中国から入って来たのだし、小麦粉をパンや麺類以外にも使う国、料理もあるだろう。しかしこうやって言い切られてしまうと、やっぱり凄いのかな? とちょっと思ってしまうのが言い切りによる言葉の威力と、言の葉の魔力を感じる。
実際のところ、日本の食文化の多彩さは、他国からのものを上手く取り入れてアレンジする事により、最高クラスにある事は確かだろう。なにせ元々は中華料理のラーメンを日本独自に進化させ、「あれは中国のラーメンとは別の物だ」と言わせた上に、それを欧米に進出させてしまうほどだ。カレーだって同じ事をしているし、その独自進化はインド人も興味津々である。元々日本発祥の物で考えても、お好み焼きやたこ焼き、てんぷらや丼物など、「新しい! 美味しい!」と思われて海外で楽しまれている料理は多い。そしてもちろん、極め付けは生魚である。
こちらもやはり、海に面した国というのは世界中にあるので、魚料理がある国というのはたくさんある。しかし生魚の料理となると少なくなり、刺身、そしてそれを進化させた「寿司」は、日本の誇る究極の食文化だろう。なにしろ世界中でどこもやっていなかったのに、日本が変な物を作り始めて、完成させたら食べ物の中で1、2を争うほど美味しいのだから。おそらく醤油とワサビの奇跡的な遭遇がなければ、ここまでのマリアージュは果たせなかっただろう。しかしそれも試行錯誤した先人たちの努力のたまものである。とはいえ寿司も初めから完成されていたものでは無い。それはもちろん、昔は冷蔵技術がなかったりだとか、初期はファーストフード扱いで屋台で安価で食べられていたとか、大トロは脂っぽ過ぎて捨てられていたとか、技術面と立ち位置の部分、試行錯誤の流れがあったからだろう。
しかしそもそも生魚を食べない国の人から見てみれば、ゲテモノ扱いされても仕方のない物もあるのである。今や高級食材であるイクラやウニ、あとはカニ味噌や子持ち昆布なども初見ではギョッとするネタであろう。世界的に見れば「これ初めて食べた人、凄いな……」と思う食材はたくさんある。が、動物でも魚でも、とにかく焼いてしまえば殺菌されるし概ね行けるだろう、の概念を覆す生食文化である。そこには食べられる部分と食べられない部分の切り分け、時には毒の除去、そして美味しく食べられる様にする下処理というたくさんの努力が詰まっている。
まあ今回のセリフは麺類の事を言っていたが、どちらかというと生魚系に言いたいものである。
「生魚を酢飯に併せて美食を作り、魚卵や内臓すら珍味にして食す我々 視界の広さたるや」
他の追随を許さないレベルであろう。