言の葉の魔力

名言、つぶやき、掛け合い、ネットスラング、表現、ことわざ、アナウンス、歌詞、キャッチフレーズ、挨拶、名称、称号、まで。世の中にあふれる言の葉(ことのは)をうんちくを交えて紹介

俗称・肩書き・称号

三国志”曹操孟徳”治世の能臣「乱世の奸雄」現代において修羅場に生き生きとする社長

投稿日:2020年10月5日

「乱世の奸雄」

出典元、「三国志」より、曹操孟徳(そうそう もうとく)が若い頃にされた評価。「治世の能臣、乱世の奸雄」。

格好いい上にちょっと考えるとなるほどと理解出来るタイプの言葉なので、一般的にも使われている言い回しかと思いきや、検索すると曹操しかヒットしないのでこれは完全に「三国志」用語なのだろう。というか曹操用語。「能臣」というのは”有能な臣下”という意味で、平和な世なら仕え人として能力を発揮するという褒め言葉、そして「奸雄」は”ずる賢い英雄”という意味なので、乱世なら褒められた形ではないが世に出て覇者となるという、これもまあ褒め言葉……? だろうか。実際に「三国志」の時代が乱世になり、曹操が英雄になった事を考えれば的を射まくった指摘と言えるだろう。若い頃に言われたと言うが、まあ、こういうエピソードは後付けでどうにでもなる。曹操がずる賢い英雄だったかどうかは、「三国志演義」と「三国志正史」でイメージが違って来る上に、その二つの違いを話しているとややこしくなるので、「三国志」の話はこれで終わり。

「乱世の奸雄」はつまり「三国志」用語なのだが、「三国志」というものの知名度が高いのでギリギリ日常生活でも使える言葉かもしれない。現代において治世だの乱世だのは存在しないが、そう、これは仕事で例えられない事もないのである。社内の業務が順調に進んでいて特に波もない時には大人しくて存在感のない社長が、いざ修羅場の様な大変な状況になると生き生きとしてリーダーシップを発揮し始める、そういった状況に遭遇した事のある人は居ないだろうか。状況は大変な事になっているのにも関わらず、なぜか水を得た魚の様に動き出し、飛び回り、「ピンチこそチャンス」みたいな事を言って従業員に無理をさせ、方々駆け回ってなんとかその修羅場を解決に導く。普段いるかいないか分からない社長が突然に荒ぶり出すその構図は、まさに現代における「乱世の奸雄」と言えるだろう。

もちろん、いい意味だけではない。

そういう社長に限って敢えて波乱を好む傾向があり、大変な仕事が落ち着くと従業員みんながホッとするが、味を占めた社長はわざと波乱を呼び込む様な動きをするのである。人員的に考えて無茶な量の仕事を取って来たり、普段から余裕のない部署に新たな仕事を振ったりする。無論、社長がその会社をどうしようが社長の勝手なのだから好きにすればいいのだが、会社の端っこで無茶をするのと会社の収益を支える大黒柱を引っこ抜いて冒険に走るのとでは迷惑度合いが違ってくる。

手堅い地味な業務で収益を成り立たせている会社の社長ほど、なぜか新しい事業を立ち上げなければいけないという強迫観念に襲われている事が多く、どこかで聞いた儲け話を全くリサーチする事なく従業員に無茶振りする。素人考えで全く新規の業務を持って来て、社長の決定権を持って従業員に押し付けるのである。毎日忙しくしていて、なんとか残業にならない様に頑張っている様な人に”まるまる一つ”新規業務を押し付けたりするのだから大したものである。

こういう余計な事は普通、柱となる業務が順調であればこそ冒険出来る要素とも言えるのだが、「乱世の奸雄」はそういったちゃんと考えなければいけない要素はあまり重視しない。会社の柱、収益を支える重要な人員だろうが自分の思い付いたワクワクする新しいアイデアを実現させるため、ある人は自分と一緒に連れ回し、ある人はよく分からない別分野の勉強会に行かされ、業務は柱ごとグダグダになる。もちろん、その先に待つのは従業員の決死のブレーキか、会社自体の破滅である。成功ではない。

おそらく共感度合いが人によって違って来るエピソードだが、もしこういった”大変な時に覚醒する”タイプの人を見掛けたら、尊敬のまなざしと共に警戒心を抱くべきと言えるだろう。生存本能を刺激するに足る存在であり、彼らは凡人には止められない。せめて出来る事としては、「あ、これは乱世の奸雄だな」と気付いて対応策を練る事だけである。

-俗称・肩書き・称号

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ヘッドセットマイクでつぶやきながら歩いている人の通称「ツイッター」伊集院光が命名

2020/02/11

信用ならない漫画家「ファイアパンチの作者」”藤本タツキ”もうめちゃくちゃ

2020/10/26

昔の”折り畳みケータイ”スマホ以前「ガラケー」日本の”ガラパゴス化”の影響

2020/07/17

非常に不快な”直らない癖”「クチャラー」親の教育とマナー違反、言い訳/逆切れ

2020/04/20

映画”釣りバカ日誌”より、鈴木さんのニックネーム「スーさん」ハマちゃんとスーさん

2020/04/23

ネット上で影響力のある人「インフルエンサー」インフルエンザに名前が似てる

2020/07/22

“千円でべろべろに酔える店”「せんべろ」ファミレス参入でサイゼリヤ飲み?

2019/06/06

“キャプテン翼”若林源三「SGGK」簡単な単語を組み合わせただけなのに格好いい

2019/11/16

“最終兵器彼女”みたいなやつ「セカイ系」一時期流行った”きみとぼく”と世界の滅亡

2020/06/26

このビジネス用語の意味と語源は?「ファーストペンギン」勇気あるベンチャー企業

2020/01/16

人気記事

1
 Twitter
成功の証は”新鮮みがないこと”?「西海岸で飲む、いつもの味」ブルーボトルコーヒーの”あいつ”松村太郎
2019/03/15
2
 アナウンス
“発表されない”抽選結果「当選者の発表は賞品の発送をもって代えさせていただきます」落選メールぐらい欲しい
2019/12/30
3
 ドラマ
ここは俺がやる!海外ドラマ”24″ジャックバウアーの名言「本当にすまないと思っている」元ネタ
2019/06/25
4
 ウェブコメント・レビュー
凛として時雨”unravel”「腹から声出せ」→「やればできんじゃねえか!」アニメ”東京喰種”オープニング
2020/06/14
5
 著名人
“バトル・ロワイアル”作者の高見広春「十分稼いだのでもう新作を書くつもりはない」
2020/02/01
6
 歌詞
“紅蓮の弓矢”出だし「すいませんそこ右に家が」アニメ”進撃の巨人”オープニング
2020/06/06
7
 テレビ
ひろゆき名言集「それ明らかにあなたの感想ですよね」奇抜なロン毛の古谷経衡と屁理屈での殴り合い
2019/12/07
8
 漫才・コント
“パッション屋良”のお決まりのフレーズ「そうだね、プロテインだね」体操のお兄さん
2020/05/25
9
 漫画
刃牙”ビスケット・オリバ”「メニューは全てステーキに統一される」肉とワインで傷を快復
2020/09/11
10
 俗称・肩書き・称号
信用ならない漫画家「ファイアパンチの作者」”藤本タツキ”もうめちゃくちゃ
2020/10/26
11
 技
バスケ漫画”スラムダンク”桜木花道命名「庶民シュート」レイアップシュート
2020/04/16
12
 ネットスラング
話題のぶった切り「そんな事よりサメの話しようぜ!」急にサメと言われても
2020/05/28
13
 魔法
竜破斬”ドラグ・スレイブ”「時の流れに埋もれし 偉大な汝の名において」スレイヤーズのリナ=インバース
2020/02/07
14
 ドラマ
ドラマ”TRICK”の上田次郎「なぜベストを尽くさないのか」どんな人へも刺さるメッセージ
2019/09/18
15
 漫画
こち亀でFF5「「オメガ」を倒すには魔法剣士の乱れ打ちが有効らしい そしてその時かける魔法はサンダガだ!」”魔法剣”、”二刀流”、”みだれうち”
2019/02/06
16
 ゲーム
“サガ2秘宝伝説”最強の武器?「ネコのツメ」すばやさが高いと攻撃力が上がる
2019/10/20
17
 アニメ
エヴァンゲリオン”公式”体長「40m~200m」ガンダムの体長は知られているが
2020/03/24
18
 超対話
“ニセコイ”作者の古味直志「もう何連載してもキムチキムチ言われるんだぜ?」「じゃあ次はフレアって言われることを目指そうぜ」
2019/05/23
19
 ゲーム
“FF10″ユウナの名言「いなくなってしまった人たちのこと 時々でいいから…思い出してください」
2020/05/18
20
 掲示板
ネットの歴史”ヘンテコな文法”「すいません、自決しました」”自己解決”の意味でした
2019/01/10

サンセット

当サイトの記事では、創作物などのネタバレを扱っている場合があります。閲覧は自己責任でお願いいたします。