「夕食を採るのは諦めたわ」
出典元、なにかのテレビ番組、いつかの放送。内容は、ダイエットについて。
「ダイエット」という言葉には”痩せる”以外に確実にもう一つの意味が付随している。それは”楽して”である。なるべく”楽して痩せる”、それが「ダイエット」だ。男性もだが特に女性はこの情報に飛び付き、いかに楽に痩せられるか、それに心血を注ぐ。昔からたくさんのダイエット方法が生み出され、そして廃れて行った。懐かしいところでは朝バナナダイエット、レコーディングダイエット、最近では炭水化物抜きダイエットなどが流行っているかと思う。いずれもキツ過ぎず、お金もそれほどかからず、内容を聞いた段階でなんとなく続けられそうな気がするところ、が共通している。流行り廃りに関しては有効度合いより、結局はメディアの宣伝次第という面もある。
今回のセリフは、なにか良いダイエット方法がないかと、探して回る番組でのものだったと思う。そしてダイエットを聞くなら痩せてる人に聞けばいい、痩せてる人といえばモデル! それじゃあ海外のスーパーモデルに話を聞こう、そういう流れだった。インタビュアーはモデルに、一体どういう方法で体形を維持しているのか、その方法を聞こうとした。食欲を抑える方法、効率のいい運動の方法、モデルだから多少はスラッとした筋肉が付いていた方がいいかもしれない。それらのいい方法を聞き出そうと質問したのである。食事についてのモデルの答えはとても印象に残っている。朝はヨーグルトとシリアルだけね。昼は採るけど量は控えめにして栄養バランスには気を付けているわ。間食はしないし、
「夕食を採るのは諦めたわ」
パワーワードである。身も蓋もない。運動の話も聞き、インタビュアーは普通に感心してその場面は終わったが、視聴者の「え、ちょっ」な気持ちは置き去りとなった。テレビ番組である。この答えに番組としてのフォロー、もしくはインタビュアーとしてのツッコミもなく先に進んでいいものだろうか。……この感情を言語化しておこう。「我慢出来るならしてるわ!」がジャストだろうか。
どうやったら痩せられるかなんて事は誰だって知っている。食べる量を減らし、たくさん運動すれば体重は減るのである。プロはどうしているのか。
食事については要するに我慢しているだけ。
運動については要するに頑張っているだけ。
これが正解であり、事実である。が、素人の参考にはならない。これでは「減量」である。”楽して痩せる”のが「ダイエット」なのだから。
需要が尽きないからこそ、違法スレスレのものもはびこりつつ延々と歴史を紡いでいく各種ダイエット方法だが、やろうと思った人は一応頭の片隅に入れておいた方がいい。食べる量を減らし、よく運動をすれば体重は減らせる。それのちょっとした裏技が、「ダイエット」と呼ばれるものだということだという事を。プロは普通に厳しい道を選んでいるし、スーパーモデルは夕食自体諦めている。