「この番組は2015年9月15日に放送されたものです」
出典元、最近よく見るテレビのテロップより。特定の番組のものという訳ではなく、日付にも意味はないが。
考えさせられるやつ。
最近流行りの低コスパ番組と言えば、芸能人が街を散策する番組だろう。何人かで適当な街をぶらぶらし、お店に入る時はその場でアポを取って、まあ失礼のない様にする。その場で選んだにしてはちゃんとした撮影環境で絵を取れる場合が多く、裏でスタッフが色々やっていたり、店に頑張ってもらっていたりするのだろう。番組によっては単なる散策ではなくバス旅行にしてゲーム性を出したり、その土地名産のお店を目指したりと差別化を図っているが、やっている事は大体同じである。スタジオ代も掛からず飲食代もほぼ実費だけで、ホント上手い仕組みを定着させたものだ。で、昨今気になるのはやはり「今、ぶらりと外を散策してていいの?」という当然の疑問で、その答えはもちろん「よくない」となる。なのでそういった番組には画面の端っこにテロップが表示される。
「この放送は、2015年9月15日に放送されたものです」
デスヨネー。そう、再放送なのである。これはずっと表示されていて欲しいが、最初だけ表示されていたりもする。しかし説明がなくてもマスクの有無や店の開き具合で大体分かったりもするのである。ああ、これはちょっと前のやつだな、と。ほらちょっとこの人若いし。それにしても遜色なく面白いなあ。何年前だとか言っても分からないし。この番組、この人出てたんだ。……。そこに浮かぶ、浮かんでしまう一抹の違和感。
これもう全部再放送でいいんじゃ……?
……。
いやいやいや。えー……。でも、う~ん。そう、つまり前にその番組を見ていなければそんなもの今の映像だろうが5年前の映像だろうが視聴者にとって価値は同じじゃないか、という話である。ニュースだったらもちろんこうは行かないが、じゃあニュース以外でどんな番組だと問題があるのだろうか。バラエティ? 出演者に最近の売れっ子がいないぐらいで、問題なし。ドキュメンタリー? 問題なし。クイズ番組? 問題なし。音楽番組? 90年代後半の放送をそのまま流したらメッチャ視聴率取れそう。スポーツ? さすがにリアルタイムじゃないものを長々とは流せないので、ハイライト集になりそう。で、凄く面白そう。アニメ、ドラマ、映画、全く問題なし。
つまり出演者の幅が少し狭まるだけで、ニュース以外もう再放送でいいんじゃないか、という話である。これは単に古い番組でも楽しめるというだけでなく、新しい番組をお金を掛けて撮らなくてもいい、という事なので放送局側に一考の余地はある提言だろう。出演者には痛い話だが……。しかし「ドラえもん」がいつのまにか二話のうち一話が再放送になっていてもあまり気付かれないように、ストーリーものでなければ比較的なんでもそれが可能だったりする。というかそれこそ視聴率で考えれば20%取ってたくさんの人に見てもらえた、が、80%の人はまだ見てないからもう一度流していい、という事にならないものか。ならないか、視聴率ってそういうものじゃないかぁ……。しかし考え方の方向性はそれほど間違っていない様な気もする。
テレビ離れが進んでいる昨今、予算削減をして今までのまま番組を作っていくより、再放送の可能性を模索した方が頭が良いのかもしれない。そしてここにも浮かぶ一抹の違和感は、みんなそんな事とっくに気付いてるけど誰も言わないだけだったり……というやつだが、……そんな訳ないか。