「バカパク」
出典元、かつて放送していたテレビ番組「ボキャブラ天国」のネタ評価パネル、「ボキャブラ・マトリックス」の評価の一つ。
「ボキャブラ天国」は相当人気の番組だった。番組名が変わったり、時々特番で復活しているが、レギュラー放送が終了した際も人気が落ちていた感は無かったため、なぜ終わらせてしまったのか不明である。特に芸人が多数出演していた頃は、その芸人にとって黄金時代だった人らも多く、終了には仕事を失う以上の失望があっただろう。ネタの出来は上手い人は本当に上手い、下手な人は毎回下手、ネプチューンはそのやり口反則、など様々だったが、とにかく出演すること自体にブランド価値があったため、とても影響力のある番組だった。下手なネタで滑った後もパネラーとのやり取りで笑いを取れれば勝ちである。視聴率も高かったため一時代を築いた番組だったと言えるだろう。
そのネタ評価パネルが「ボキャブラ・マトリックス」である。上下に「知的」と「バカ」のゲージがあり、左右には「シブイ」と「インパクト」のゲージがある。ひたすら「バカ」なネタだな~と評価されれば「バカ10.0」などになるが、その中間スペースが基本的に貼られる部分になり、それを「シブ知」、「インパク知」、「バカシブ」、「バカパク」と呼んでいた。「バカパク」はその一つである。このフレーズを聞いてボキャブラを思い出せるようなら観た事のある人だろう。しかし「シブ知」辺りは少しマイナーだったかもしれない。名前がだが。
ボキャブラとは、格言や歌の歌詞を「ボキャブる」事である。投稿者作品は番組が作った映像も付けられるため、その衝撃から今でも本物を聞くと連想してしまう人もいるだろう。名作どころでは、
山下達郎「クリスマス・イブ」の
「雨は夜更け過ぎに 雪へと変わるだろう」
を
「兄は夜更け過ぎ~に~ 雪絵と変わる~だ~ろう」
ベン・E・キング「スタンド・バイ・ミー」の
「in the night」
を
「便座ァ無いッ!」
辺りだろうか。いい迷惑である。思い出せる、もしくは覚えていた人にはそれだけのインパクトがあったのだ。そして便座などは確実に「バカパク」だった事だろう。「バカ」で、「インパクト」がある。ボキャブラという、このジャンルがなくなってしまった事が残念だが、時代の移り変わりだろうか。まあ、ただの制作側の気まぐれだとは思うが。出演者が鼻を高くする以上に、思い付いた制作者は誇りに思っていい。
なぜか後半の時期は、土地ネタが異様にウケていた。
「沼津」の駅看板を出して
「ぬまず食わず」
が大ウケしていた気がする。何がウケるか分からないし、それが面白いところなのだが、影響力が大きすぎる。
芸人にとっても大きな舞台だったが、映像の付く視聴者はなおさらインパクトが強かっただろう。司会のタモリとアシスタントの小島奈津子とのやり取りも秀逸でかなり完成された番組だった。下手にいじくらず、普通に復活してしまえばまた全国にボキャブラフィーバーが巻き起こるかもしれない。時代に合った面白さというものも存在するが、ボキャブラは時代を超えた面白さというものの気がする。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。