「アクトレイザーあるやん!!」
出典元、何かのテレビ。発言者、ダウンタウン松本人志。
「アクトレイザー」はスーパーファミコンのゲームの名前である。この番組は、タイミング的にはミニスーパーファミコンの話題の頃だったのかもしれないが、よくは分からない。主旨はそこではない。よくある、自分の好きなゲームを有名人も好きだったんだ、なんか嬉しい! というやつである。心理学的には専門用語があるかもしれないが、それは知らない。しかしとにかく嬉しいものである。世代もある。松本人志と同世代なら、もしかしたらやってたりするかな、という疑問はあるかと思うが、ここで松本人志がマリオでもドラクエでもなく、「アクトレイザー」に目を付けるところがいい。
「アクトレイザー」はゲームの知名度はそこそこあるものの、まあマリオやドラクエとは比べものにならないし、ゲーム自体もやや地味なソフトである。「神様ゲーム」と言われるが、神様だか天使になって世界を作ったり救ったりするゲームである。好きな人はハマるが合わない人には合わないタイプのゲームと言っていいだろう。ただ音楽が非常に評価されており、どちらかというとそっちの方が有名かもしれない。
ところで、お笑いについて言えば、慣れ、自信、立場がパフォーマンスを発揮できる条件のとても大きな要素だという事を知っておくと、少し寛容にテレビを見られるのかな、と思う。テレビにまだそんなに出ていない人はそもそもカメラの前で緊張してしまうし、滑ったときの事を考えて勝手に頭が真っ白になったりもするだろう。それは何回も出演し、笑いを取り、自信を持っていくことで次第に解消される。それまでは試用期間、そこからが実力だね、と考えてあげると、芸人にとってもありがたいだろう。
あとは立場というのがあって、ダウンタウンなんかが出てる番組は他のお笑い芸人はまずダウンタウンより下の立場である。なので下は上を立たせつつ、上に拾ってもらえるように気を遣いつつ、発言する。この場合は松本人志などは無茶振りを振られる事もない、振るのは構わない、相手は後輩芸人だらけだからいじるのも自由、と非常にやりやすい状況になる。別に悪く言っているのではなく、どうしてもそうなるし、そういうものである。それを分かった上で見ていると、まあ慣れも自信も立場もステータスマックスの松本人志が、余裕を持ったクオリティの高いボケを連発出来るのも当然だと思うし、後輩芸人が多少たどたどしくてもまあ仕方ないかな、という気持ちを持てる。寛容になれるという事である。
しかしまあ松本人志のボケ力というものが日本屈指なのも確かで、ネットで探すと語録が出てくるぐらい大した人である。テレビだから流れて行ってしまうのでまとめてあるとありがたいし、その場でも笑えるのと、そうまでして評価されるボケを多数残せるのだからやはりとんでもない人である。今回の番組でもこれが「マリオカートあるやん!!」だったら何も心に響かない事を考えると、そうかこれも高度なボケなんだ、と感心させられる。松本人志がどれだけアクトレイザーを好きだったかは知らないが、ズラッとある古いゲームソフトを見てアクトレイザーに目を付けるとはただ者ではない。頭脳の瞬発力が素晴らしい。