「先手必勝」
出典元、日本に古来よりある格言。ことわざ、四字熟語とも。
有名な言葉であるが、軽視されている言葉の一つでもあると個人的には考える。ただそれは、現実世界において一撃必殺クラスの戦いがあまり行われていないのが原因だと思われる。例えば戦国時代において、槍を持った歩兵同士が対面し、間合いやタイミングもあるが先に刺してしまえば概ねそこで勝負は付いてしまうだろう。攻撃力の高い武器であるほどこの意味が深くなる。
重火器を用いた戦いになるとさらに顕著になる。先に撃った方がまず勝つだろう。西部劇のルールの様なものはまた別だろうが、なんでもありならとにかく先手を取る事、そして相手の戦闘力を奪う事である。反撃がないならそこで勝負は付いてしまう。
ボクシングなど、攻撃力を極度に落として駆け引きを楽しむスポーツになってしまうとこれがまた「先手必勝」の意味をなさなくなる。が、まあ、見世物として一瞬で付いてしまう勝負より、磨いてきた技術同士のぶつかり合いをなるべく長く見せたい、見たい、というのがボクシングなのでそこはまた別扱いである。ワンパンKOというものもそれはそれで見応えはあるが。
そしてまたキックボクシングになってくると攻撃力が上がってくる。ハイキックが頭部にクリーンヒットすれば、それは一撃必殺であり、もし万が一開始時に相手が油断していたら積極的に狙っていくべきものだろう。ダウンして、立ち上がったとしてもそのダメージによりほぼ勝負が付いている。「先手必勝」である。
あまり直接的に触れるのもアレだが、ルール無用の喧嘩になって来るとさらに「先手必勝」が必勝策となる。相手の隙を突いて、一撃で攻撃力を奪えばいいのである。首をトンとやって気絶させるのはドラマの世界だし、顎をスパーンとやって脳みそを揺らすのは漫画の世界だが、実際のところ地味に有効なのは関節を取る事である。相手の油断を突いてみぞおちに一撃、もしくは頭にガツン、してひるんだところを、背後から腕の関節を極めてしまえば勝負アリである。常に警戒している不良などは漫画の世界だけなので、この場合、個の戦闘力を遥かに上回る位置に「先手必勝」という戦法が存在している。
もちろんそれらは喧嘩も含めてよろしくない事なので推奨出来ない事ではあるのだが、自衛としてなら頭に入れておいてもいいだろう。特に力の弱い女性の場合は、警戒していない相手にいきなりスタンガンを使ってしまえばそこで勝負は付いてしまう。また、そんなもの持ってないよ、という人には街中なら「大声で叫ぶ」という方法も使えるだろう。日頃から練習していなくてもいいが、念頭にだけ置いておけばいざという時に大の男に対して「先手必勝」の効果は認められる。セリフは「キャーーー!」よりは、「誰か助けてーーー!」など、ある程度意味のあるもので決めておいた方がいいだろう。
「先手必勝」。真剣勝負ほどお互い警戒しているので意味が薄れていくが、逆になんでもありな時ほど生きてくる戦術である。