「やったか?」←やってない
出典元、フィクションにおけるお約束の一つ。ほぼ破られる事のない絶対的なルール。
すなわち、「やったか?」というセリフが放たれた場合、その答えは「やってない」となる。「やったか?」の瞬間に爆煙や土煙などで状況がよく見えず、結果が分かるまでに数秒を要する展開だと効果が高い。さらに攻撃を受けた側が主人公だった場合、どんなに絶望的な状況であったとしても決してやられる事はない。やってないパターンとしては本人が覚醒して攻撃を凌いでいたり、ギリギリで助けが間に合ったり、敵側の油断で攻撃に隙が生じていたり、である。隙があった場合はたぶん手前のシーンにフラグがある。つまりいかなる状況であろうとも「やったか?」のセリフが放たれればそれは「やってない」結果へと帰結する。
「いや、そのりくつはおかしい。」
おかしいのだが、これはメタ的に絶対的なものである。理由は”因果関係が逆だから”。どういう事かと言うと、味方が敵のとても強力な攻撃を受け、なんとか凌ぐというシーンがある。凌ぐ前提である。そういうシーンと決まったあとに、演出としてその攻撃の危険度や絶望度を上げたり、周りからの「やられるー!」感をてんこ盛りにしていく。その演出の一つが結局のところ、「やったか?」の周りからの声にもなる。なってしまうのである。お約束の展開とも言える。そしてそういったシーンの場合、読者の共感にまで思いを巡らせると、どんなに強烈な攻撃を食らっても、味方にはそこでやられないで欲しい、なんとか助かってくれ、という気持ちになる。そこに……、読者へ一縷の望みを与えるためにお約束フレーズである「やったか?」を添えるのである。つまり「やってない」シーンに添えるお約束のセリフが「やったか?」なので、そのセリフが放たれた瞬間、結果は「やってない」に確定してしまうのである。ストーリーの作り手側の事情、つまりメタ的に考えるとそうなので、それは絶対的なのである。なんてこった。
なお、このルールは漫画やアニメ、映画などにおいては当てはまるが、小説にはそれほど当てはまらない。おそらくは絵や音の演出が与える影響が大きいのだろう。土煙に。
そしてこの状況の名前を「生存フラグ」と言う。気にしながら見ているとバリエーション豊かに意外とそこかしこで見られる演出なので、話の意外性を付けたい場合は使わない方がいい手法だろう。ただし、よく使われるという事は王道の面白さを含んでいるという意味でもあるので、この辺りは好き好きか。
類義語に
「この高さから落ちては助かるまい」
がある。このセリフが放たれた場合、下は大抵、水である。