「うるさい。俺たちは今サッカーの話をしているんだ」
出典元、カズの有名なセリフ。カズとは、”キング”の愛称を持つサッカー選手の三浦知良の事である。
エピソードトークなので確実にあったとは限らないが、カズを知る人なら真実だと疑わないだろう。三浦知良選手、現在52歳、現役ッ!!
シンプルなエピソードである。焼肉屋に北沢選手と、あと何人かの女性を連れて食べに来ていたカズを見付けて、サッカー少年が話を聞いた時の話である。実際にはサッカーをやっていない高校生の兄が、小学3年生でサッカーをやっている弟に、せっかくだからとちょっと厚かましく、いやそう自分で書いているので遠慮はあっただろうが、弟のためにカズに話し掛けに行った。
「お楽しみのところすいませんが」
弟がサッカーやっているんで、何か言葉をいただけると励みになるんですが。
正直なところ、「今プライベードなんで」で断っていい場面である。ここで応えてくれるのは100%親切心である。そして、カズは来てくれた。小3の少年に対して目線を合わせ、適当な激励のひと言を掛けるというのではなく、ちゃんと話をしてくれた。どのポジションが向いている、今活躍している人で言うならあの選手とかあの選手かな。それで……。小3の少年にそこまで話してくれるだけで、その人の器の大きさが分かるというものである。しかしそこで連れの女性から「ねえまだー」と横槍が入る。おそらく、「そんな子どもなんていつまでも相手してないでよ」という不満が混ざっていたのだろう。それに対しカズは振り向き、言ったのである。
「うるさい。俺たちは今サッカーの話をしているんだ」
か、格好いい……。格好良すぎる。サッカーの話をしている、そんなシンプルな内容なのに非常に心に来るセリフである。他の人がどう思っていようと、自分と、そのサッカー少年にとっては何よりも大事な話なんだ、と言っているのである。そして相手が子どもだろうが真剣に話してくれるカズのサッカーへの想いも、この少年には伝わっただろう。このセリフは、何度も噛みしめてみるといい。場面ごと想像してみるのもいいかもしれない。フレーズだけ見ると普通に感じるかもしれないが、本当に熱いセリフである。また、それをカズが言ったというのが心に染みてくる。
Jリーグの始まった年と書いてあるから、1993年の話である。……に、26年前か。カズも52歳になってしまったが、そう考えると当時のサッカー少年も、35歳という事になる。もしサッカーを続けていて、Jリーグに入っていたのならそろそろ引退も見えてくる歳である。そう考えると歴史を感じるエピソードである。いやカズが52歳現役なのは置いといて……。しかし現役バリバリだったカズがその26年後もまだ現役でプレイしている事を考えるに、またこのセリフの重みも増してくる様に感じるのは、不思議なものである。
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