平成を「一太郎」で走り切ろうとしてた農水省ヤバい
平成を「一太郎」で走り切ろうとしてた農水省ヤバい pic.twitter.com/fXywCMbubl
— 柴田健太郎 (@shibaken020) 2018年1月14日
出典元、柴田健太郎(@shibaken020)氏のつぶやきより。しかしこのつぶやき自体は、とあるニュースへの感想のつぶやきである。
そのニュースとは、「文書作成、ワードに統一=効率化で働き方改革-農水省」。
少し話題になっていたニュースである。農林水産省が、文書作成ソフトをジャストシステムの「一太郎」からマイクロソフトの「Word」に変えて働き方改革、という事である。今年の一月かららしい。「一太郎」も「Word」も同じ文章作成ソフトだが、「一太郎」は拡張子というかファイル形式が独特のため、基本的に「一太郎」でしか読み取れない。それを現在主流の「Word」に変えて、効率化を図ろう、という話である。なにも知らない人が聞いたなら「ふうん、いい事じゃん」で済む話である。しかし、ちょっとでも知っている人なら感想はどうしても、「まだ一太郎使ってたのかよwwwww」になる。仕方ない。
「一太郎」はパソコン黎明期に活躍した文書作成ソフトである。そして「Word」はもちろん、あの「Office」に付いて来る文書作成ソフトである。「Office」は家電量販店でパソコンを買うと初めから入っている、プリインストールソフトの事が多く、マイクロソフトが「Excel」、「PowerPoint」などとセットで納める様になってから、爆発的に広まった。というか自動的に広まっていった。何しろ初めからパソコンに入っているのである。「一太郎」は、わざわざ買わなくてはならない。この流れで学校教育での文章作成ソフトも「Word」に移って行ったし、シェアも比べる必要がないほど「Word」に流れて行った。移行期はしばらく、「一太郎」に慣れきってしまった人たちがこだわりで使い続けていたが、やはり時代の波というものがある。今どき「一太郎」を使っている人は変わり者だし、そもそも文章データをメールで送り合うのが当たり前になっている現代、独自のファイル形式というのが邪魔過ぎる存在になっている。
が。「一太郎」はバージョンを上げつつ発売し続けて来ているのである。なぜか。それは一部の官公庁が大型顧客として大量購入しているからである。昔から「一太郎」のファイル形式で文章を作っていたのなら、新しいバージョンの「一太郎」なら読み込める。逆に、「Word」では全く読み取れない。よっぽど工夫して変換ソフトをかまさないと開けもしないだろうし、図表などが入っている文章なら、完全な変換などとても無理だろう。仕様が全く違うのである。それで、じゃあずっと「一太郎」で行くのがいいかと言われると、それはそれで問題がある。
「一太郎」でないと「一太郎」のファイル形式が読み取れないのは省内だけで文章を回す分にはいいのだが、他社が絡む際に一気に面倒になる。つまりちょっとした関連会社も、農水省から送られてきた「一太郎」形式のデータが開けないと困るので買わないといけなくなる。「Word」なら普及率から考えてどこでも開けるだろうに……。そしてもう一つ、学校で「Word」を習ってきた若者が、いちいち「一太郎」を覚え直さないといけなくなる。どちらも同じ文章作成ソフトなのに無駄もいいところである。
……という問題が表面化して来たために、ついに「Word」への統一へ重い腰を上げたのだろう。正直言って10年前から言われていてもなんの不思議もない問題である。よくここまで粘ったものだ。あ、それがつまりこういう事である。
平成を「一太郎」で走り切ろうとしてた農水省ヤバい
今年は平成30年、平成も天皇陛下の譲位により31年4月30日をもって元号が新しいものに変わる。つまりあと1年半ほど粘っていれば平成を走り切れたという事だが、まあこの「走り切ろうとしていた」という表現が上手い。そしてやはりここまで粘っていた農水省はヤバい。が、おそらく他の官公庁でもまだ使っているところが多いと思われるので、いい加減に、いい加減にした方がいいと思われる。そして、こんなしょーもないレベルの事で「働き方革命」とドヤってしまうところが世間離れし過ぎていて、笑いどころである。いい加減にしろ。
まあ、「Word」が使いやすいソフトだと言う気もまったくないが。
あとジャストシステムは涙目である。