「テラフォーマーズ」
出典元、作:貴家悠、画:橘賢一による漫画「テラフォーマーズ」より、漫画のタイトル。
「テラフォーミング」という言葉がある。地球以外の惑星を、人類の住める環境に改造することで、地球に住めなくなった時にそこへ移住する為の行為である。しかし現実的にはまず現在の環境が酷すぎると無理、遠いと無理、というシンプルかつ巨大な難問があり、金星は超熱いので無理、距離的に月か、せいぜい火星かといったところである。しかし火星もかなり寒い。現実的にと言ったが現実的な計画が進んでいる訳でもなく、まあSF、つまりフィクション用の用語である。
というなんとなく「テラフォーミング」という言葉があるな、と思っていたところに「テラフォーマーズ」という漫画である。この漫画の目的も一応は火星のテラフォーミングであり、つまりテラフォーマー、をする人、たち。テラフォーマーズ。
作品の舞台は今から約600年後の未来である。物語開始の数百年前、人が住むには気温が低い火星を温める為、21世紀に火星にゴキブリが放たれた。ゴキブリと、その食用の特殊な苔である。火星を温め、人類の住める環境にする。そして住める環境になっていれば役割を終えたゴキブリを一掃して、火星を調査するか、というところから物語は始まる。しかしいざ火星に到着してみると、ゴキブリは人型に異常発達しており、襲い掛かってきた。そこからは人間と、ゴキブリとの戦いである。その人型ゴキブリは「テラフォーマー」と呼ばれている。
と、スッと「テラフォーマーズ」の名前が入ってくる訳だが、この漫画、原作と作画が別れているだけあって設定が細かく、奥が深い。悪く言うと、なんだかきな臭い。「マーズ」って火星じゃなかったか。「テラ」は地球とも訳せないか。となると……、「テラ・フォー・マーズ」となって「火星から地球へ」という意味にもなる。「テラフォーマー」をする人たちとこれで、同じ言葉に2つの意味を持たせる、いわゆるダブル・ミーニングというやつである。
実際、舞台は火星で大きな決着が付いた後、地球へと移っていった。今現在は休載中だが、地球に移るタイミングで「テラ・フォー・マーズ」っぽい書き方がされていたので明らかに狙っていたのだろう。というかスペルが元から火星の「MARS」なので、さもありなんである。作品としては「この漫画がすごい!」の1位になったりと、しっかり内容から売れて行った漫画で、今や「テラフォーマーズ」といったらこれで、確固たる固有名詞である。このようにかなり話が進んでから、最初から張ってあった伏線が判明してくるのは非常に面白い。