「センターカラー」
出典元、漫画雑誌用語。巻頭ではなく雑誌の途中にある連載の表紙がカラーである事。
やっている事は巻頭カラーと同じである。違いはページ数がほぼ1ページという事ぐらいだろうか。……異論はあるだろうが、言わせていただきたい。漫画において、なぜここまでカラーをありがたがるのかさっぱり分からない。センターカラーで言えば1ページがカラーで、残りの19ページがモノクロである。全部が全部カラーというならそれはそれで売りにもなるのだろうが、ちょっとだけ、本当に10分の1だけカラーにしたところでどうという事は無い。せいぜい髪色不明のキャラの、色が判明するぐらいである。ノリでキャラの髪の色を変える「ジョジョ」だと、それすらも難しい。
にも関わらず”大きな売り”として出版社はカラーを押し出し、「次号センターカラーです!」と大々的に宣伝し、漫画家にはありがたがれとばかりに大きな宿題を出す。実際結構大変らしい。問題はそれに価値を見い出さない読者がいるという事だけでなく、漫画家が労力を強いられるところにもあるし、さらに言えばカラーだと絵の魅力が落ちる漫画家もいるという点である。こうなるともはや支離滅裂である。売りにしたのに「なんか変」と思われておしまいになる。もしくは上手くもないし下手でもなく、”なんとも思われない”。しかし塗りが下手な漫画家というのは実際にいるのである。下手というか、モノクロの方が生きる絵を描く漫画家、と言った方がいいか。
そしてコミックになると、なかった事になって全部モノクロだったりするのだから、何をか言わんやである。カラーを強引にモノクロにするため、通常のモノクロ部分よりも見づらくなっている。せっかく描かせたんだから、そのページぐらいカラーにしてやれと思う。やっているコミックもあるのだから、不可能なはずがないのである。そのくらいの費用は出版社が持ってやって、通常の値段で出させてあげろよと。そういうところだけケチっておいて、普段からきついスケジュールの漫画家にノリで追加作業を発生させるのは、本当にどうかと思う。
ただまあ、カラーに向いた、敢えて言えばアニメ的な塗りの得意な漫画家もいるのである。実際にカラーが生きる絵を描いて来る。最近はデジタル彩色をしている漫画家も多いので、意外と違和感を乗り越えて上手い具合にフィットさせて来ている。完全カラー漫画として連載している天野明の「エルドライブ」などが好例だろう。しかしそれが特殊なのであって、完全カラー漫画なんて短編以外だと普通ないし、たまに色付きで描かされるのが大変なのは素人でも分かる。
最も上手い事をやったな、と思った例は亜城木夢叶の漫画「PCP」で、探偵ものの漫画なのでセンターカラーの中にネタを詰め込み、本編を読んでいる間に何度もそのセンターカラーのページを読み返すという仕組みを取っていた回、……であるが、これ大場つぐみ、小畑健の漫画「バクマン。」の劇中劇、というか作中作なので実在しないという難点があり、例えを間違えた……。とにかく、ありがたいと思う読者もいるし、どうでもいいと思う読者もいる事を、出版社は理解しておいた方がいい。異論は認める。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。