「配られたカードで勝負するしかないのさ」
出典元、チャールズ・M・シュルツの漫画「ピーナッツ」より。犬のスヌーピーのセリフ。
勝負の世界で日々戦っている人に贈りたい言葉である。どちらかというと身体を使うタイプか。つまりスポーツ選手。
「体重別」というものがある。「階級別」とも言われるが、主にボクシング、柔道、レスリングなどで取り入れられている。何故か。体の大きい方が強いという絶対的な真実があるからである。身長が高く、体重が重く、それに見合った筋肉があるならば、軽量級の選手は重量級の選手には適わない。小柄な日本人が活躍するパワー系の競技には、体重別のものが多い事からもそれが証明されている。
つまり逆に言えば、体重別でない無差別級の競技では往々にして体の大きな選手が活躍している。そもそものパワーが違うのだ。直方体の木のパズルでも並べて見れば分かる。身長がパズル3つの選手がいたとしたら、高さ3×幅2×奥行き2=12としよう。身長4だと、高さ4×幅3×奥行き3=36となる。実際にはそこまでの差は付かないが、基本的にまず身長が高い方が体が大きく、体が大きい方が体積があり、体積が大きい方がパワーがあるのだ。体重は増やせるが身長は伸ばせない。フィジカルがものをいうスポーツではこの差を埋めるには相当の努力がいる。
体重別以外で生かすとすれば、まず団体戦による戦略、それからテクニックの生きる球技だろうか。野球などは最たる例で、イチローがメジャーリーグでもトップの成績を残した事で、それは証明されている。また、サッカーやバスケットボールでは、やはりフィジカルの強さが生きる面が大きいが、まず団体戦である事、それから小柄でちょこまかと小回りの利く選手も活躍できる素地がある。大きい選手に比べて小さい選手は、漫画ほどスピードに差は出ないが、体が小さくすり抜けられる事や、シュート精度にはあまり関係ないので実際に身長の低い選手も活躍している。
まあつまりは身長だろう。ここでスヌーピーの言葉を贈りたい。
「配られたカードで勝負するしかないのさ」
その低身長でこのスポーツを志してしまった以上、それを生かすポジションや戦略で勝負するしかない。一部の限られた才能の持ち主は力技で乗り越えてくるが、そんなものはほとんど漫画の中にしか存在しない。だからフィジカルのスポーツでも、テクニックと、戦略を駆使して戦う。最近で言うとラグビーで日本代表が南アフリカに勝ったのが記憶に新しいだろう。ラグビーはフィジカルが勝敗に直結し、テクニックが生かしにくいスポーツと言われるが、その中でテクニックを駆使した勝利は世界に衝撃を与えた。
あと日本人はどうしても「柔よく剛を制す」、小さい選手が大きい選手を倒す展開に弱い。織田信長のせいかもしれないが、どうしても圧倒的に不利な方を応援してしまう風潮がある。「小さいのによく頑張った」なんて言われると本人は不本意かもしれないが、よくある光景でもある。そう言われることも含めて、小さい選手は配られたカードで勝負するしかない。のさ。