「チョコボ」
出典元、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズに登場するキャラクターより。FFシリーズのマスコット的存在。
ゲーム中、乗って地上を速く移動する目的に使われるので、まあチョコボはファイナルファンタジー世界における馬である。馬を馬のまま使うと騎馬っ騎馬しすぎてファンタジーっぽさが弱くなってしまうので、少しファンシーでありつつ現実味を残した動物にしたのだろう。「チョコボって実在するよ」と言われたら「んな訳ないやろー」と言いつつ少し考えてしまうのはダチョウのせい。初出はファミコンの「ファイナルファンタジー2」で、1988年の作品である。既にその作品内にて「チョコボのテーマ」は流れており、チョコボに乗った時に流れるあの曲は、歴代を通して愛されている。歌詞は
「チョッコボー チョコボ チョッコッボー
チョッコボ チョッコボー
チョッコボ チョッコボー
はい!」
であり、公式。
「ファイナルファンタジー」シリーズに「2」以降毎度登場する人気キャラクターであり、「FF5」のボコ、といった特定の作品における人気というよりは種族として知名度と人気がある。単純に可愛いという点も大きいが、FFシリーズは作品ごとに世界観が違うため、シリーズをまたぐ共通のキャラというのが出しにくい。逆に魔法やアイテムやモンスターは共通している事が多く、そこで代表するキャラとしてチョコボがピックアップされがちなのだろう。ゴブリンじゃゴツいしサボテンダーじゃ弱い。
チョコボはプレステ時代にはマリオ的な存在にでもなりたかったのか、「チョコボレーシング」、「チョコボスタリオン」、「チョコボの不思議なダンジョン」など、冒険的に他ジャンルに進出したゲームを出していた。……気持ちは分かるがチョコボを「ダービースタリオン」的に扱うのはキャラクター的に大丈夫だったのだろうか。姿が似ている生き物としてはまあダチョウなのだが、名前が似ているものにチョコボールがあり、鳴き声の似ているものにもチョコボールのキョロちゃんがいる。
「クエッ」
……。
そう、これは知っている人にとっては「だよね」レベルの話……でありつつ、知らない人にとっては「え、いいの!?」と驚くタイプのエピソードなのである。みんな知ってる森永チョコレートのチョコボールのキャラクター、キョロちゃんの鳴き声も「クエッ」な訳で、これは……、これは、インスパイアだとしても似すぎでは? ……一応、チョコボールは1965年発売、キョロちゃんの登場も1967年なので明らかにこちらが先である。
しかし、これは実際にアナウンスがあった訳ではないが公然の秘密なのである。スクウェアもキョロちゃんから命名したと言っているし、森永側も認識している。「チョコボのチョコボール」というコラボ商品を出した事すらある。コラボした事があるなら完全に公認だが、よく許してくれたものだ。森永はそれこそ「チョコボール」の名称で別の会社と裁判を起こした事もあるのである。チョコボが許されたのは、社内にFFのファンがいたか、競合しない業種なのと正直に言っている部分で許してもらえたのだろうか。実際のところは分からないが、変にケチが付かなかった事で結果的に嫌な思いをしなかった人は星の数ほどいただろう。偉いと言うか……うん、これこそが「優しい世界」である。