「○ボタンを押せ」。
出典元、プレイステーション2のゲーム「かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄」より。ゲーム内の選択肢である。
「かまいたちの夜」は、文字を読んでいき選択肢を選んで話を進めていくサウンドノベルというジャンルのゲームである。最初の作品という訳ではないが、このジャンルの草分け的存在といっていいだろう。「かまいたちの夜2」はその続編である。そして、「かまいたちの夜」シリーズはミステリーというかサスペンスというかホラーというか、とにかく怖い系のゲームである。
舞台は孤島である。いわゆるクローズド・サークルと呼ばれるもので、殺人事件が起こってもすぐに警察が来れないので、自分たちでどうにかするタイプのミステリーである。殺人あり、犯人探しあり、犯人扱いされもあり、涙あり笑いあり、頭のおかしい展開あり、なんでもありである。が、基本的には怖い。
実はこのゲーム、選択肢を選んでいくと言いつつも選択肢を戻ることもできる。なので間違っていたら戻り、ここを一度通過して戻ってみたら別の選択肢が出ていたりという「えー、そんなのありー?」な造りなのだが、ボリュームとシナリオの出来の良さもあり、やってみるとすぐに慣れて、選択肢を埋めるのが楽しみになってくる。
そこで「○ボタンを押せ」である。
ああ、今回は間違ったルートに来ちゃったかな、深いし暗いし怖いし流石にこの先はバットエンドだろう、選択肢が出た……、「○ボタンを押せ」。1つしか出ない。1択である。選択肢になっていない。は? ちょっと待って。一旦戻ろう。……戻れない。メニューを出そう。メニューが出せない。○ボタンって、コントローラーの○ボタン? 今ゲーム内のキャラになりきってるのに、それコントローラーの話!? ……押すしかない。○ボタンを。そして破滅のバットエンドである。
いわゆるメタ的なゾッとする怖さ。”一回しか使えない一番怖いやつ”である。例えるならテレビから家に電話が掛かってくるようなありえない恐怖。これには本当にまいった。