「ラストエリクサー症候群」
出典元、ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズに登場するアイテム、「ラストエリクサー」を最後まで使えない心境及び性格、もしくは皮肉。「ラストエリクサー病」とも。
RPGにおいてHPとMPが重要な数値であるゲームは多いだろう。「ファイナルファンタジー」シリーズも当然そうで、MPがなくなれば魔法が使えなくなるし、HPがなくなれば戦闘不能になる。それを回復するのがエーテルなりポーションなのだが、HPとMPを同時に回復してしまうのが「エリクサー」である。この時点で希少価値は高いし、あまりショップで買える様なアイテムにはなっていない。そして”パーティメンバー全員の”HPとMPを”全回復させる”、最強の回復アイテムが「ラストエリクサー」である。効果が絶大なため、大抵のシリーズで入手手段は激レアになっており、おおむねゲームの終盤に1個しか手に入らない。
しかしそのレアさがこのアイテムの使いにくさを助長してしまい、最高のアイテムだけに最強の敵とのバトルに使おう、という考えが頭から離れなくなる。……までは良く、ラスボスとの最終戦においても最後まで使わずに温存してしまう人が多発してしまうという、罪なアイテムになってしまっている。それはそれで後悔の残る無駄である。転じて、この様な「もったいなくて使えなくて最終的に無駄にしてしまう現象」を「ラストエリクサー症候群」と言う様になった。たぶん。
別に使わないでラスボスを倒し、クリア出来たのなら特に問題は無いのだが、そこに残る「使わなくてもったいなかったなあ……」という気持ちがクリアの爽快感に冷や水を浴びせる、のだろう。ただまあ笑い話程度の問題とも言えるので、友だちとの話題にでもすればいい。そこまではいい。しかしこれが他者と協力するタイプのオンラインゲームとなると話がやや違って来る。いや、勝てればまあいいのだが、使えば勝てたのに使わずに負けて、しかもそれがオンラインゲームならではの仲間数人を巻き込む敗北となると、その判断ミスの被害は甚大である。しかし「ラストエリクサー症候群」などと名前が付けられている様に、そんな事態は結構あちこちで発生しているのである。ラストエリクサーだけの問題ではない。
つまりちょっとした「エリクサー」でさえ使いどころは戦略に関わって来るし、とっておきの「切り札」的な技を使うタイミングも勝敗を分けるのである。それをいかに絶妙な場面で使えるかがスキルと経験の生かし場所なのだが、「ラストエリクサー症候群」に罹っているプレイヤーほど思い切りが良くない。例えバトルの前の作戦会議で使うタイミングを決めていたとしても、いざその段になって「使え!」という時に、「使っていい?」と聞きながらタイミングを逃していく。そこで仲間からの「早く使って!」を聞きつつその数秒の時間差で戦闘不能に陥り、パーティが崩れ、バトルの敗北までを招いてしまう可能性を持つ。これも言ってしまえば「ラストエリクサー症候群」患者の症状だろう。
克服するには経験を積むしかないだろうが、オフラインゲームならセーブして一回使ってみてリセットするとか、オンラインゲームなら似た様なレア度のアイテムや技を定期的に使っておき、”使い慣れ”しておくのがいいだろう。とはいえその辺りは遊んでいるゲームに依るし、結局のところプレイヤー自身の経験値の問題である。古人曰く、「一瞬の油断が命取り」。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。