「詫び石」
出典元、ソーシャルゲームにおける、バグなどの開発上のミスでユーザーに不利益が発生した際の、補填アイテムの総称。いや通称。
おそらくガンホーの「パズル&ドラゴンズ」におけるアイテム、「魔法石」が語源と思われる。他のソーシャルゲームでも「なんとか石」とかはあるだろうが、ソシャゲ自体がおおむね似た様なシステムのため、つまり「パズドラ」における「魔法石」的なものをお詫びで配る事を「詫び石」と言う。お金で買えるものかどうかはゲームによるが、お得でないものをお詫びに渡しても火に油なので、渡すのはお得なアイテムである事は間違いない。たまにニュースで異常な数の「詫び石」を出す事になった、などと聞いたなら、「ああ、とんでもなく大規模なレベルの不具合をやってしまったんだな」と思えばいい。大体合っている。
問題があるとすれば「詫び石」を配る事の常態化だろうか。ソーシャルゲームとはつまりオンラインゲームである。大体のゲームにおいて、年がら年中イベントをやっている。それは時間と共に補充されるアイテムなり体力なりと、時間制限を設けたイベントで取得出来るレアキャラとの兼ね合いである。”射幸心を煽る”事こそがソシャゲの神髄であり、時間をいくらやりくりしてもイベント終了までに足りない、クリア出来ない、ゲット出来ない、時に、頼るのがリアルマネーという仕組みである。非常に良く出来た仕組みである。ちなみに褒めている訳では無い。
そこで問題になって来るのが、とめどなく続くイベント投入による開発側の疲弊と、どうしても発生してしまう不具合である。不具合にも重さの段階があるが、イベント説明文の不備によるユーザーの混乱から、そもそもイベントが発生しなかったり、実際にクリアしたのに報酬がもらえないなどの重大なものまでたくさんの種類がある。ソシャゲとは、イベントと不具合と補填がセットになったゲームであると言っても過言では無いほどである。その補填が「詫び石」である。
ちなみに「金掛けてんだぞ、バグ起こすなよ」というユーザーの意見は全くもってごもっともであるが、開発側の言い分もちょっとだけ同情の余地がある。そもそもゲームというものは、まず作り、デバッグ作業を繰り返してバグがない事を確認した上で、テストプレイを経て調整したあとにリリースされるものだったのである。オンラインゲームが流行してからも同様に、2か月に1回のバージョンアップなどはサーバーを止めて慎重に行われていた。それがソーシャルゲームになると、ゲームにもよるがそれこそ週替わりでイベントを投入しなければならなくなる。しかもユーザーを飽きさせない様に、たまに新しい要素を取り入れながらである。
そりゃあバグも起こるわ。
というのが、まあ、開発陣の総意であろう。そして実際、コンシューマーゲームにおけるバグ発生率とは比較にならないほど、ソーシャルゲームはバグが起こりまくる。理由は上に書いた通りである。なのでもちろん「詫び石」投入が頻繁に発生し、しかし納得のいかないユーザーからの苦情は止まなかったりするし、しかし次のイベントを止める選択肢も収益の関係から上層部が認めてくれず、開発陣は地獄を見る。まさにカオスである。
そして……、ものにもよるが雨後のタケノコと化したソシャゲ業界は、長く続くものもあるがとにかく総数が多いのですぐ終わるものも多い。何十万”円”と注ぎ込んで遊んで来たユーザーを、血も涙もなく切り捨てるのが「サービス終了」である。ちなみに始める前に読まされる規約に「そういうものですからね」と書いてあるのでユーザーは文句も言えない。そういうものなのである。廃課金ユーザーで、上位ランカーとなったゲームがあっさり終了してしまった時の絶望感は相当なものだろう。なんと言っていいか言葉が見付からない。たぶんカオスとかっていうレベルじゃないので……、
「カオスの上か!??」