言の葉の魔力

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俗称・肩書き・称号

「せんべろ」

投稿日:2019年6月6日


「せんべろ」

出典元、不明。いつの頃からか、自然発生的に使われ出した言葉。

意味は「千円でべろべろに酔える」である。せんべろ酒場なら「千円でべろべろに酔える店」という意味で使われる。バブル崩壊後ぐらいから使われる様になったのかもしれないし、もっと昔からあったのかもしれない。千円の価値が現代とそう変わらないぐらいには近年から使われ出した言葉だと思われる。

世のサラリーマン憩いのフレーズである。

厳密にはそれほど「せんべろ」ではない。千円で、おおよそ酒2杯、つまみ2、3品辺りがちょうどいい具合か。少なくとも酒1杯で「せんべろ」とは言わない。しかし酒飲みとはいえ、酒場で酒だけ飲む訳にはいかない。つまみが欲しいというだけでなく、さすがに店に申し訳ないという気持ちが出るからである。であるので、酒2杯と最低でも1つのつまみ、で千円に収まる”飲み”を「せんべろ」と言うのだろう。だがしかし、酒飲みほど酒2杯でべろべろになどならないのである。それはいわゆる「ちょい飲み」の範疇である。しかし酒飲みは皆、とにかく安い店や、店が作ってくれたお得な千円セットを見て「せんべろだせんべろだ」と、ありがたがってそれを堪能するのである。厳密でないというのはそういう意味だが、そこには敬いの気持ちと感謝の心が存在する。財布の寂しいサラリーマンにとって、ありがたい存在に替わりはないからである。

近年では、まさかのファミレスがそこへ参入している。酒飲みとイメージが付きにくいが、先駆けはやはり「サイゼリヤ」だろう。イメージが付きにくいのはイタリアンだからというだけでなく、「せんべろ」をするには酒がワインに固定されるからである。しかしそのワインが安い。そしてニクい事に、それに合うイタリアンつまみが豊富に用意されていて、199円から選べるのである。現実的に一番安く飲めるのは「サイゼリヤ」かもしれない。しかし「飲みでワイン!?」という人がいる事も確かである。ビールがない訳ではないが安くはないので、そちらを選ぶと一気に選択肢が狭まってしまう。そこを妥協出来るか出来ないかで、大きく評価の別れる議題だろう。「サイゼリヤ」に追随する様に他のファミレスもファミレス飲みを導入し出していて、「ガスト」辺りも追い上げているが、やはりどうしても”ワインのコスパ”での勝負になりがちなので、条件は比較的同じになる。

あと安いのは串焼き屋関連だろうか。一本80円から、安い店では50円、60円でつまめる串をつまみつつ、3杯飲んで合計千円に行かなければ立派な上級「せんべろ」屋である。ファミレスなどの競合が増えた事により、戦略は深みを増している。以前まではたくさん飲んで、たくさん食べて欲しいと思っていた店側も、今は「軽く一杯」でも回転が良ければいい、という考えになって来たりしている。ポイントは営業時間で、「18時までならビール半額」など、おそらく普段行かない層や、頑張って急いで来てくれる層を取り込む戦略なのだろう。お店とは、一度行くと二度目からの入りやすさが違う。”この時間なら空いてるな”と分かって行く時の心境などさらに倍、倍だからである。

この様に激戦の様相を見せる「せんべろ」界隈だが、プレミアムフライデーなど、景気高揚に向けた政策などで状況がどう変わるか分からない。店としても色々とサービスを打ち出し、それがふところの寂しいサラリーマンの需要にいかにフィットするかが勝負の決め手なのだろう。客側としては、店がそれまでのメニューを大きく変更せずにセットや時間帯サービスなどで上手く工夫して来るのを、純粋に楽しみにしたいところである。

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    コトノハ

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