「インフルエンサー」
出典元、のぎ……ネット界隈で近年使われ始めた用語より。意識の高いカタカナ用語。
「インフルエンサー」。意味としては、「ネット上で影響力のある人」みたいなところに落ち着く用語である。が、じゃあSNSをやっている芸能人やスポーツ選手が皆インフルエンサーなのかと言うとそれはまたイメージが異なり、どちらかと言うとネットを上手く使って人気を集める事に成功した一般人を指す言葉として使われている。芸能人を含めない訳ではないが……。主にはブロガー、YouTuber(ユーチューバー)、インスタグラマー辺りが該当するだろう。
「インフルエンサー」と聞いて、まず誰しもの頭に浮かぶのが「なんでインフルエンザみたいな名前なんだ?」という点だろう。どう考えても似ている。しかしこれは「インフルエンザ」の名前に似せて「インフルエンサー」という名前を付けたのではなく、どちらかと言うと「インフルエンザ」の命名に問題がある。どういう事か……。この二つの語源は同じで、「影響」を意味する「influence」(インフルエンス)から取られている。そして「影響」”を与えるもの”なので「インフルエンス・ァー」で「インフルエンザ」か「インフルエンサー」になっている。「インフルエンザ」は昔からある感染症で、当時は天体の運行や寒気などの影響による病気と考えられていた事から、”なんらかの影響による病気”的な意味で、つまり症状とは関係ない命名で「インフルエンザ」と名付けられたのである。なので語源から考えると「インフルエンサー」の方がまともな使い方をしていると言っていい。今さら文句を言ったところでどうにもならないが……。
そして「インフルエンサー」がネット上で影響力のある人だという事は、非常に大きな宣伝力を持っている事も意味する。そのため、彼らを使う宣伝方法を「インフルエンサー・マーケティング」と呼んだりするぐらい、近年使われている手法になっている。確かに登録者数が100万人いるユーチューバーが動画で「これ好き」と商品を宣伝したとしたら、凄まじい影響力があるだろう。テレビCMで強制的に見せられる宣伝とは違い、ユーチューバーの登録者はほぼファンとしてカウント出来るからである。そりゃあ、知らない人が向こうの都合でお勧めしている物と、好きな人が自分に向けて宣伝している物とでは大違いである。こうかはばつぐんだ!
……抜群であるがゆえに、ブロガーなどが「インフルエンサー」と言われ始めた当初は問題になった。「ちょっとこの商品を、宣伝と言わないで自分が気に入ってる事にして紹介してくれない?」という手法、いわゆる「ステルスマーケティング」が行われ、問題になったのである。メーカーも大金を使ってテレビCMを流すより、こっちの方が安く済むと考えたのだろう。しかしあっさりとバレてしまい、これにはさすがのファンも怒った。「好きで応援してるけど騙してもいいとは言っていない」というやつである。可愛さ余って憎さ百倍、大顰蹙を浴びたが、「ステルスマーケティング」は完全な違法ではないため、現在もそれなりにこっそり行われているくさい。
「インフルエンサー」という用語がそこそこ使われ出し、曲も作られたりして認知度も高くなってきた。しかしこの名称というか称号は、明確な線引きもなく、どのレベルから「インフルエンサー」なのかは曖昧なものである。そして当然の事ながら他人から言われるものであって、自分から名乗るものではない。自分から名乗るというのは、自分でカリスマ美容師とか神絵師とかを名乗る様なものであり、実績があったとしてもこっぱずかしいものなので、やめておいた方がいいだろう。