「山を舐めるな自然は怖いと言いつつ、別に用もないのに趣味でわざわざ危険な山に登るの矛盾してない?
用もないのにわざわざ危険なとこにいくとかもう舐め腐ってるやん」
出典元、2chスレッド「登山家頭おかしすぎ」より。どこかの誰かの書き込み。
スレッドの内容としては、今どきの登山家はこんなとんでもない環境の山を登っているんですよ、といった話である。主に雪山登山、ロッククライミングなどを駆使する最高難易度の登山についての話題である。写真リンクなどもあるが確かに死にに行く様なものと思わざるを得ないとんでもない山がたくさん登場する。が、それを攻めるのが登山家である。
多少歯が浮く気になりつつも、少しつらつらと述べてみる。
山を舐めてはいけない。雪山に限らず、日本の都市部から見える山だとしても気軽に登っていいものでは無い。気温の変化は激しいし、道から逸れれば一気に遭難の可能性が出て来る。軽装だったり、山登りに向かない靴だったり、食料や飲み水などしっかりと準備をしないまま、「なんとかなるだろう」と思って気軽に登りに行くと大変な事になる。そもそもちゃんとした登山なら届け出が必要だし、誰にも伝えずに行ったのなら二日や三日いなくても気付かれない人もいるだろう。その間、食料もろくにないまま夜を過ごし、着替えもままならない状況で暑かったり汗が冷えて寒くなったり、ただそこにいるだけで体力は消耗して行くのである。高尾山ぐらい人通りの多い山ならともかく、人のいないところで素人が準備もなしに山に登るものでは無い。命に関わる。雪山登山といった、ハイレベルな登山では無い一般レベルの登山ですらこのぐらいの常識はある。山を舐めるな、自然は怖い。一般論終わり。
さて次にハイレベルプレイヤーの事情である。たぶん極め切った登山家にとって山とは、呪いクラスの趣味なのだろう。最初は未踏峰を踏む事に意味があった。エベレストが未踏の頃である。チームを組んで、協力し、何度も失敗を繰り返しながら雪と猛吹雪の中、世界初の登頂を目指した。そしてその頃から議論があったが、酸素ボンベ使用の問題である。酸素ボンベを使っての登頂はフェアでは無いのではないか、そんな事を言っていたのも今は昔。エベレストが登頂され、世界各地にある難所も次々と攻略されて行った。するとどうなるか。条件の過激化が進むのである。まず「無酸素」と言われる酸素ボンベ未使用での登攀、そしてチームを組まない単独での登攀、さらにはわざわざ険しい条件となる冬場の登攀、さらにさらにわざわざ難しいルートを使っての登攀、近年はスピード競争まで始まっている。
……こんな事情への強烈なカウンターパンチが今回のセリフである。
「山を舐めるな自然は怖いと言いつつ、別に用もないのに趣味でわざわざ危険な山に登るの矛盾してない?
用もないのにわざわざ危険なとこにいくとかもう舐め腐ってるやん」
むぐぐ……。さすがに世界初登頂などには人類史的な意味はあっただろうが、最近の条件を付けた登攀については確かにこれへの反論は難しい。明らかに一番じゃないと嫌だからと言って条件をキツくして競争している。舐め腐ってるのかな? 舐め腐ってる? ……舐め腐ってるよ!
最後に2レス先の返信書き込みを添えておく。
「あかん草」