「薄暗い暗いところで本を読むと目が悪くなるよ」
出典元、不詳。しかし言われた内容に揺れはあるだろが、誰もが一度は言われた事のあるセリフだろう。主に親だろうか。
薄暗いところで本を読むと確かに読みにくいし、目に悪い気がする。小説でも漫画でもそうだ。昔は携帯ゲーム機にバックライトがなかったので、今のスマホの様に携帯端末で遊ぶゲームにもそれが当てはまった。初期のゲームボーイなど元から暗いし、薄暗いところではプレイ出来たものじゃないのに、逆に直射日光でも反射して遊びにくいというなかなかな黎明期っぷりだった。
しかし、よく考えてみれば朝、陽が昇る前も薄暗いし、夕方陽が落ちてからも薄暗い。夜も灯りがなければ暗い。しかし人間は活動している。薄暗い屋外で、看板を読んでもダメ、広告を見てもダメ、とは言われない。文字がダメなの? 絵ならいいの? 輪郭だけ見るだけならいいの? 何が答えなの?
薄暗いところで、勉強をしてたら、怒られ、なかった、……か……、
薄暗いところで本を読むと目が悪くなるという研究結果は存在しないらしい。
え! だが、そうらしく、せいぜい目が疲れるとかそういう問題で、視力はかなりの部分、遺伝がからんで来ているので、目が悪い人はだいたい親のせいである。その親とて、さらにその親のせいである。そして記憶を辿れば、暗いところで読んでいたのは漫画だったのではないか、ふとんの中でこっそりやっていたのはゲームだったのではないか、怒られていたのはそれだったのではないか、という考えが浮かぶ。もちろん親は薄暗いところで文字を読む事が目に悪いと信じていただろう。しかし怒られた直接の原因は漫画だったのではないか、ゲームだったのではないか、勉強していなかったからではないか?
蛍の光、窓の雪
蛍雪の功(けいせつのこう)とも言うが、電気がない時代、夜の暗い中でも蛍の光や雪の光を利用して、”薄暗い中、文字の読み書きをして”勉強したエピソードは、ことわざになるぐらい褒められる出来事である。その頃の人は元から本能で分かっていたのか、それどころじゃなく切迫した状況だったか。現代人は灯りに慣れすぎていて、薄暗いところで本を読んじゃダメ、と言われれば”なんとなくそんな気がするから”信じている。信じてしまった。しかし科学的に証明されていない。つまるところ、ウソである。
みんなが信じているからって、おじいちゃんおばあちゃんが言っていたからって、昔から受け継がれて来ているからって、それが根拠にはならないし、それが真実とは限らない。
「漫画ばっかり読んでないで、勉強しなさい!」が真実であって、「そんな薄暗いところで勉強してないで、灯りを点けなさい」も真実であり、「薄暗いところで漫画を読んだら、目が悪くなるでしょ!」が間違いだったのである。困ったことにね。