#内閣総辞職ビーム
出典元、主にツイッター。映画「シン・ゴジラ」に関するハッシュタグ。
映画「シン・ゴジラ」は2016年7月29日に公開された。そのテレビ地上波初放送が2017年11月12日にあり、主にツイッター上で話題をかっさらった。映画のテレビ初放送というのは、先に映画を観ている人にとっては初めて観る人に対して配慮が必要な部分であり、テレビで初めて観る人にとってはネタバレを避けるべくあえて情報を遮断する必要のある微妙な部分だっただろう。
しかしあえてネタバレを検索しなくても、漏れ聞こえてきてしまうものはある。特にツイッターなどのSNSで、あえて検索しなくても流れて来てしまう情報はあるのである。自分は遮断していても、フォローしている人がネタバレをつぶやいてしまえばあっさりと崩れてしまう。ツイッター自体を見ないという手もあるが、今回の地上波初放送はかなり手前から予告され、話題作だった事もあり、ずっとツイッターを見ないでおく、などは難しかっただろう。
が、逆に言えば元から映画も観ていないし、テレビでも観るつもりのない人にとって、きっかけとなる気になるワードでもあればそれはそれで視聴する理由になるのである。しかしやはり大枠はともかく、映画の核心部分や結末まで知ってしまっては面白味が半減する。この、映画を観て、せっかくテレビでやるのだから観て欲しい、と思う人と、あまり興味はなかったけど何か惹かれるものがあるなら観てもいいかな、という人とのせめぎ合いに王手をかける、行為に一役買ったのが、このハッシュタグだろう。
#内閣総辞職ビーム
ど、どんなビームなんだ……!
ゴジラだし街にビームを放って大量の死者が出て、対応責任を取って内閣総辞職するのか。あるいは、政府がゴジラを倒すためにかなり無茶をして新兵器を作り、いくつかの街を犠牲にしてゴジラを攻撃する兵器で、失敗したら内閣総辞職する様なものなのか。うーん、どんなビームなんだろ、”観てみたい”。そう、これだけじゃ分からない、想像をかき立てられる、しかしネタバレしていない、しかし作中に実際にあるという、絶妙なタグがこれであった。
もちろん当日は「シン・ゴジラ」の話題で掲示板、他SNSも盛り上がっただろうが、やはりツイッターが「シン・ゴジラ」一色になっていたのは映画を観た人もまた観たし、観てなくて楽しみにしていた人も観たし、観るつもりはなかったけどツイッターでやたら話題になってるから観ておくか、という人も観たからだろう。前から言われている事だがテレビを観ながらリアルタイムでネットで感想を書き込んだり、書き込まれた感想を見るのはとても楽しい。それが今回、いや今回の「シン・ゴジラ」でも、爆発した感じだ。
「シン・ゴジラ」はとにかく良く出来た作品で、庵野監督作品だけに色々と細かな部分が作り込まれていてとにかく語りたくなる。ツイッターを見て「え、そうなんだ」と知った豆知識もしゃべりたくなるが、観ていない人には話せないし、今回やっとテレビ放送された事で情報解禁、といったところか。とにかくお祭り騒ぎだった。ちなみに観た人は分かりきった事だが、この #内閣総辞職ビーム は、ゴジラのビームにより内閣の閣僚が全員死亡という、かなりそのまんまなネーミングだった。しかし前述の通り、知らない人にはいくつかの可能性を連想させるため、本気でネタバレしない程度の興味を惹くネタバレとして、非常に上手く機能したと言っていいだろう。秀逸である。