「それなら、今覚えろ」
出典元、不詳。ビジネス上の、上司から部下への指示。
指示、命令だが必ずしも悪い意味ではない。「これってどういう意味ですか?」、という質問があった場合、それまでずっと話題に出ていて重要なワードであるにも関わらずその質問をしたのなら非常に問題である。コラッ、その時確認しろ、である。しかし、今日、今初めて聞いた言葉で、それまでに使った事もなく知る機会もなかった言葉なら、教えてあげるだけでいい。部下から「コンセンサスってどういう意味ですか?」と聞かれ、上司は「コンセンサスを得る、という風に使うが、大勢の人から同意を得るという意味だ」と答える。部下は「ずっと知らなかったです」、と。
「それなら、今覚えろ」
ずっと知らなくても問題がなかったのだから、今覚えて今後話題に上がった際に、理解出来ていればいい。悪い意味ではないし、格言的でもある。覚える自信がなければメモを取るように。最近はカタカナ用語が増えて来ていて、知的振るためにわざわざ難しい用語を使う人が増えている。「意識高い系」などとも揶揄されるが、日本語でもいいところをわざとカタカナ用語にして使うのは端的に言えば「いじわる」、悪く言えば「自分の事を良く見せたい自意識過剰な人」、もっと悪く言えば「説明なのに説明出来ていない事を理解出来ない馬鹿」、である。コミットメントだのペンディングだのエビデンスだのパーマネントだのプライオリティだのベネフィットだのキャッチアップだの、時代によって次第に使われていくものもあるだろうが、現状では実用性1に対して、勘に障る率9ぐらいの用語だという事は、理解しておいた方がいい。
これはアルファベットの短縮用語にも言えて、KPIだのOJTだのCPAだのSCMだの、その業界で一般的に使われるものならともかく、分からない人もいる環境で使ってはいけない。略語は本当に短くし過ぎなので、業界をまたぐと意味の違うものまで出て来てしまう。少しでも他分野の人と話しているときに得意振って使うのは危険だし、やはり「イヤミなやつ」、「説明の下手なやつ」と思われるだけである。
しかし始めに書いた様に、必要であれば必要に応じて覚えればいい。知っていて損という事もない。上司はそういう時、単純に無知を叱るのではなく、これからこの業界ならどのくらい使うかしっかりと判断した上で教えてあげるべきである。大事なのは、一度聞いて教えてもらったのに忘れてしまって再度聞いたりしてしまわない事であり、同じ失敗を繰り返さない事である。一度目の間違いで怒鳴りつける様な上司は、まずそこのところを意識した方がいい。