「嫌です」
出典元、ツイッター各所。お願いに対する、お断りのシンプルな返答。
ツイッターではたまに見掛けるやり取りであるが、「嫌です」ではなく「別にいいですよー」だった場合、行き着く先は意外な事にテレビだったりする。少し真面目な場合だと災害や事故現場などが取り上げられるが、ネコでもイヌでも面白風景でも、色々なものが取り上げられている。
つまりどういう事かと言うと、昨今のメディアはツイッターなどのソーシャルメディアから面白動画、面白画像などを拾って来て、テレビなどで「どうです、面白いでしょう?」とやっている訳である。……ん? んー。
これをひらがなで「しゅざい」と名付けよう。いや、名付けなくてもいいが、ネットでポチポチ検索してリツイートの多い動画を見付けたら許可をもらい、テレビで「どうです、面白いでしょう?」とやるのである。”もにょる”気持ちはそこそこ伝わるだろう。しかし公式メディアとて、個人が撮影してアップロードした画像を勝手にテレビで流していい訳もないし、ニュースにしていい訳もない。アップロード者本人の許可が必要である。その許可がどういうやり方なのかと言うと、まずツイッターのそのツイートに対して、なんとかテレビならなんとかテレビの公式ツイッターの人が返信の形で「この動画をテレビで使わせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」、ではなく。
「この動画をテレビで使わせていただきたいです、つきましてはダイレクトメッセージで詳細をやり取りしたいのでフォローさせていただきました。そちらからもフォローしていただけますでしょうか?」、となる。相互フォローでないとダイレクトメッセージ、つまり他人から見えないやり取りは行えないからである。返信だと他の人にも丸見えになってしまう。
別にこれ自体が悪い訳ではない。むしろ丁寧に許可を取りに来ているし、おそらく見えない会話では報酬や使用許可範囲などについて取り決めを行っているのだろう。中々に労力の掛かる「しゅざい」である。皮肉で言っているが。しかし許可するか断るかはそれこそ動画をアップロードした本人の自由である。「別にいいですよー」ならすんなり話は進むだろうし、「なんか嫌だな……」と思ったらシンプルに断ればいい。
「嫌です」
あ、断ったんだ。まあそういう事もあるよね。
……。
……。
”アップロードした本人ではない全くの他人が返信している”。
おいっ。
しかもやたらと素早い返答である。リツイートなどの多い動画だと人も集まっているので、そういったメディアのアポイントメントも多いのだろうが、この「嫌です」が、案外あちこちでよく見られるというのが面白い。また、メディアによって「嫌です」をされる確率が違って来るのも面白い。それぐらいに、……うーんと、軽く嫌われている。なのでまあメディア側の担当者も、しっかり本人からの返答かどうか確認してからその後の対応をしてもらいたいものである。
なお、「ニュース記事にしていいですか?」系だと、ネットメディアだと許可率が高く、紙メディアだと許可率が低い傾向にある。理由はなんとなく分かるが、ここでは述べない。