「20~30代 もしくは40~50代の犯行」
出典元、いつかのテレビ番組。発言者、元警視庁捜査一課長の田宮榮一氏。
テレビ史に残る迷言である。名言ではなく、迷言。前後の文脈は忘れたが、なにか迷宮入りしかかっている事件に対して田宮氏に意見を聞いた際の発言だったと思う。また、テロップにはこうある。「捜査のプロが分析」、と。このシーン自体、かなり有名なのではないだろうか。ネットでもテロップの載ったキャプチャー画面を見付ける事が出来るはずである。
「20~30代 もしくは40~50代の犯行」
これはどういう事だろうか。……どうもこうもない。つまり「20代~50代の犯行」という事だ。あっ、ずいぶん広いっスね。絞れているのだろうか。絞れているはずがない。プロの意見なのだろうか。……素人意見である。まあ、そこがズッコケどころなのだが、これこそまさに権威に弱い日本人の頭をガツンとやるいいカンフル剤である。「元警視庁捜査一課長」なんて肩書きを持っていて、強面の初老の男性がテレビで重々しく語れば説得力はうなぎ登りである。しかし現実を見よ。この意見に犯人逮捕に繋がる何かポジティブな部分があるだろうか。感想は「あ~、こんな人でもトンチンカンな事言うんだ」でいいのだが、もう一歩踏み込んで、「ああ、肩書きや見た目に惑わされるのも危険だな……」と思うのが正しい判断というものである。人生訓とも言える。
まあこの田宮氏自体は、おそらくは言い方を間違えてこの様な受け取られ方をしてしまい、多少不本意だったかもしれない。「20~30代」というのは「20歳~30歳」で、「40~50代」というのは「40歳~50歳」という事を言いたかったのかもしれない。しかしそれでも「絞り込めてないじゃん」というつっこみは発生してしまう。テレビ側も生放送ではないのだから、確認を取って言い直してもらうか、カットするなりして対応してあげればいいのにとも思うが、まあこの人も「元」であって既に刑事ではないし、本人の発言だしで責任は本人が取ればいいだろうとそのまま放送されてしまったのだろう。こういう事で歴史に……、いや”テレビ迷シーン史”に名が残るのは悲しい事だが、発言には責任を持てという事でもある。
ネット上ではコラージュなどもされていたかと思うが、ドヤァ、と答えを言い放っている人が実はトンチンカンな事を言っている、というシーンでとても使い勝手がいい。つまりギャグである。この人自体が使われる事も多い。引退後にこんな事で知名度が上がってしまって、元々は外に顔が出る様な職業でもなかったろうに、今本人はどう思っているのだろうか。たぶん、知らないのだろう。ネット時代の捜査をしていた人ではない。しかしネットでこれだけネタにされているとなると、やはり歴史に名が残る、残ってしまうのかも、しれない。他人事としては、まったくもって面白いエピソードである。
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