「人手不足で、少ない従業員での営業のため、入店規制をさせて頂く場合がございます。お時間に余裕がないお客様は外の飲食店をご利用くださいませ。誠に申し訳ございません。なお、接客業をしてくれる数少ない人財を傷つけるお客様のご入店はお断りいたします」
出典元、どこからのレストランに貼られていた張り紙より。どこの店かは不明。
良い店やな、、
こういうとこで働きたいわ🤔 pic.twitter.com/IbuTxmQxMb— 諒哉 (@_x13r) August 14, 2018
諒哉(@_x13r)氏が写真に撮ってツイートした事で、一時期話題になった張り紙である。この張り紙の内容については一応、賛否両論が巻き起こった。賛否……両論? いや、このメッセージに否定的な意見が湧く事自体がおかしい。その辺のお店は別に公共の福祉ではないし、客の言う事をハイハイ聞く姿勢なのはその方が客が入るからというだけである。がんこ親父のやっているラーメン屋がある事からも分かる通り、別に横柄な接客をしようが多少待たせようが店の勝手である。……もちろんそこには一定の常識のラインというものがあるが、どちらかと言うと店側よりも客側の方がそのラインを越えがちだろう。
存在する批判意見は、どうしても後半のこの部分に集中している。
「なお、接客業をしてくれる数少ない人財を傷つけるお客様のご入店はお断りいたします」
確かにこのひと言を付けるか付けないかで大きく印象が変わるが、おそらく店側もそれまで、横暴な客の存在を相当腹に据えかねていたのだろう。行間からそれが読み取れる。普段からちょっとした事にでも文句を言ってくる客が多く、店員が理不尽なクレームで消耗していた。今回どうしても人員の調整が付かず、しかし休みにしてしまっては仕入れた食材の処理に困るだけでなく働けるスタッフにも申し訳ない。そこでつまり縮小営業に踏み切るしかなかった。満席ほど客も入れられないし、それでも混み具合によっては料理の提供を待たせる事になる。選択肢はなにがあるか。「事情を説明して理解してもらえる客だけ入店してもらう」、つまりこの張り紙の方法となる。
この方法があまり使われていない事がむしろ不思議なのだが、つまりこのぐらいの事に対してもブーブー文句を言う人が一定数いるために、なかなか踏み切れないのだろう。よく言われるが日本における接客業は”いついかなる条件であっても丁寧過ぎる”。海外はチップの存在があるので、店員に良質のサービスをしてもらいたければチップを弾めばいい。しかし日本はどんなに安い店でも高級店と同じ対応を求められる上に、店員側もそれが当然だと教育されてしまう。使う側としては気楽なものだが、言う事を聞いてくれる存在というものに対して精神が未熟な人は、自分が偉くなったと勘違いしやすい。
そして、この張り紙を貼って理解を求めても、いつもの横柄な客がさらにブーブー言う、クレーマーになるという予想が出来てしまう。だからこそ、この追加のひと言を添えたのだろう。これに腹を立てる人は入店しないため、上手い具合にクレーマー避けが行われているのである。迷惑客に対しては下っ端の店員が不満を持っても店長なりオーナーが対応してくれない事が多い。それをこの店では上の立場の者がそれを理解し、ビシッとした宣言をしてくれた。さらにこの張り紙では「接客業をしてくれる数少ない人財」という言葉を使っている。こういった言い方を外に向けて発信してくれるのも、敢えて「人財」という言葉を使っているのも、スタッフを大切にする気持ちの現れだろう。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。