「道に広がって歩かない」
出典元、日本のどこかにはありそうな看板より。ないかもしれないが、あると思うので、あるという前提で述べる。
ただのマナーの話である。歩行速度が人それぞれなので、ゆっくり歩く人が前にいて道が狭いと、追い抜かなければならず、しかしそれを意識していない人が案外多いものだ、という話である。今回、歩きスマホについては触れない。
なぜこうも気になるのだろうか。なぜこうも気にしないのだろうか。人が二人並んで歩けるぐらいの幅の道で、まず二人で並んで歩いていたら後続は追い抜けない。当たり前の話である。しかしそういう人たちに限ってゆっくり歩くのである。しかし対向者は見えるので、避けてくれる。後続はどうしたらいいのか。声を掛けて追い抜くか、諦めてゆっくり後を歩く、もしくは追い抜けるスペースが出現したタイミングでさっと追い抜くしかない。なんだこの苦労は。しかし最後のパターンになる事が多いのが困りものである。こちらが男性で、相手が女性同士、もしくはカップルだった場合は声が掛けづらく、どうにかなるタイミングを待つしかない。
しかし小学校で習うはずである。集団登校もドラクエ歩きだ。一緒に歩く先生がいた場合は、「ほら、広がって歩かない!」と注意されるだろう。注意してくれるはずである。なぜなら邪魔だから。それを、忘れてしまうのだろうか。ちなみに一人で歩いている場合も同じ事が言えたりする。二人が並んで歩けるぐらいの幅の道で、ど真ん中を歩いている。しかもゆっくりと。ど真ん中でなくても左を歩いていたと思ったらふらりと右を歩いたりする人もいる。邪魔過ぎる。これはつまり”一人で道に広がって歩いている”状態である。自分が世界の中心、ならぬ自分が道の中央、である。端っこ、歩こうな?
不思議に思うのが、歩行に不自由な状態にある人ほどやたら歩くのが速い場合が多い事である。大きな重い荷物を持っている、おばあさんであのガラガラを引いている、乳母車を引いている女性、そういう人がなぜかやたらと速く歩く場合がある点である。普通、遅いはずで、一度追い抜いてしまえば信号などで追い付かれてもまたちぎってしまえる。しかしやたら速く、先に行かれたりする。速いなら速いでいい……、と思ったら急に遅くなったり、止まったりする。不安定なのである。つまり同じ一本道を同じ方向に歩いている時に、追い抜き、追い抜かれが度々発生する。そのたびに気を遣い、ストレスが掛かる。わざとやっているのか?
「道に広がって歩かない」の看板はもう少しいたるところに設置してあってしかるべきだと思う。一説によれば女学生などは前後を歩くと力関係に影響するので極力横に広がって歩くそうである。4、5人もいたら広めの道でも壁である。男性だと声も掛けづらい。迷惑な話であるが、こんなのはただのマナーの話である。小学校で教えるかもしれないが、中学校で調子に乗る時期があり、高校ではフリーダムになる。中学校でも高校でも教えた方がいい。なってない人がこれだけ多いのだから。