「ジャスコ釧路店 直進110km」
出典元、ジャスコ釧路店の案内看板より。
よくある道路の看板である。ジャスコ……、はもうイオンかもしれないが、とにかくその釧路店までの距離が書かれている。ああ、まっすぐ110メートルか、すぐそこ……、と油断してはいけない。
110メートルではない。「直進110キロメートル」である。
釧路、そう、”北海道”釧路市である。まず、大きいデパートであることは分かるがそんな遠くにあるものの看板を110キロ手前に置く必要があるのか。……あるのか。そして直進のイメージとして何もない、信号もない道がひたすらジャスコまで伸びているイメージが浮かんでしまう。あ、アメリカかなぁ……? こんな看板が、近付くにつれていくつも並んでいるのだろうか。田舎は車が必需品とはよく言ったものである。道の途中は商店街や民家が並んでいるのだろうか。それとも何もないのだろうか。道しかないのだろうか。そして近くの商店街などが、軒並みジャスコに吸収されていそうで怖い。シャッター街の先にジャスコがありそうで怖い。その予想が、現実味があって怖い。
その看板には他にも記載がある。「よる9時まで営業 P4000台」。よんせんだい……、って何台の事だろう。4000台の事か。どんだけ長い道の先に、どんだけ広大な敷地を持った、どんだけ大きな店舗と、どんだけ大きな駐車場があるんだ。ディズニーランドじゃないんだから。まさに規格外である。出来る前と出来た後とでは、近隣住民の生活はかなり変わっただろう。何百キロ先までを近隣と言うかの議論はあるが。都会と地方の違いがあるとはいえ、北海道はまた別次元だろう。
そして従業員の事を考えると、遠方から通うのも大変だろうし近くの住人もかなり雇っただろう。もはや「ジャスコが出来る」は町おこしレベルの大事件である。便利になった部分も大きいと思うが、生活の変化というか転職せざるを得なかった人も多いだろうし、落ち着くまではかなりの数の人にストレスの掛かる大事件だった事が想像される。少なくとも110キロメートル先にもアピールする価値のあるデパートである事と、それだけの範囲から車で客が来ても収容できる駐車場があることだけは確かなのである。それもジャスコを中心に半径110キロメートルである。110キロメートル×110キロメートル×3.14の面積だ。影響力は本当にとてつもない。
あえて言わざるを得ない。北海道は、でっかいどう……。
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