「ぼくの名前は目蒲線 さみしい電車だ目蒲線 あってもなくてもどうでもいい目蒲線」
出典元、おおくぼ良太の曲「目蒲線物語(めかませんものがたり)」より、歌詞の一部。作詞もおおくぼ良太。
コミックソングと呼ばれる歌の一つである。コミックソングとはウィキペディアによると「滑稽な持ち味の音楽」だそうで、確かに「目蒲線物語」は滑稽な歌である。このサビ部分の自虐っぷりは半端ない。あってもなくてもどうでもいい目蒲線~。口ずさみたくなるメロディなおかげでさらに哀愁を誘う。
歌と言っても半分ぐらいは語り口調になっており、兄弟路線が誰で親が実は誰、みたいな事を会話形式で説明している。内容は正しいのだろうが、とにかくマイナー路線なので事実かどうかも比較的どうでもいい。というかその土地土地のローカル路線など、そもそもその土地の人にしか関係ない訳で、山手線ぐらいメジャーでなければ使っている人以外には関係ないし、知らないだろう。そしてこの歌も目蒲線が目蒲線目線で自虐している訳だが、巻き添えを食らって東武東上線や赤羽線も華麗にディスられている。
歌自体にもいくつかバージョンがあるらしいが、まあ時代というか、こういう歌のジャンルがあってもいいのかな、と思う反面、鉄道マニアにしか受けないし、実際そこで働いてる人が「あってもなくてもどうでもいい」をどのくらい寛容に受け入れられるかは疑問の残るところである。しかしそもそも鉄道ソングというだけで珍しいので、もうちょっとあってもいいのではないか、と思わない事もない。鉄道マニアは多いのだから。この「目蒲線物語」の様に自虐でなくてもいいだろう。新幹線なんかは誇るところも多いだろうし、全国を舞台に歌詞を作れる。以前、山手線発車メロディのメドレー演奏動画を見た事があるが、元々音楽のない世界でもないので、……まあ発車メロディぐらいしかないが、上手い具合に路線に一つぐらい歌を作れば、”一部で大ウケ”ぐらいの位置には行けるだろう。「目蒲線物語」も東急線、東武東上線など一部で大ウケだったからである。まあ失笑からのややウケ、という感も否めないが……。
ちなみに目蒲線は、本当に「あってもなくてもどうでもいい」状態だったかは知らないが、3両編成の路線だったらしい。そして2000年に路線を分割され名前が消え、つまりもうなくなっている。未来を暗示した歌だったか、単純な時代の流れかは知らないが。「今はもうない」事を知っていて聴くとさらに侘しさが募る。大人の男が可愛く歌っている変な歌なのに、メロディが耳に残りやすいのが、やっかいなところである。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。