「これは これで ありかな なんて…」
出典元、1998年8月発売の久川綾の曲より、曲の名前。作詞も久川綾である。
「ドラゴンボール超」のブルマの声優、鶴ひろみさんが亡くなり、後任が久川綾さんに決まったとニュースになった。元からドラゴンボールに出演していた人の中から選ぶのかな、と思っていたが、結局そうではない人から選ばれた。ウィキを見ると「ドラゴンボールZ」で「チコ」というキャラでの出演があるが、どうやらアニメオリジナルキャラクターの様なので、レギュラー陣とはほど遠いだろう。が、まあ、若手の綺麗どころの声優を事務所の力で強引に配役した感もないし、久川綾といえば長年声優を続けて来た実力派声優である。聞いた人によると違和感もなかったらしく、いい落としどころではないかと思う。
で、久川綾であるが、代表作が「セーラームーン」のセーラーマーキュリーと、まあ「セーラームーン」にレギュラー出演していたならそうなるだろうな、という発表のされ方であるが、他にもたくさんの役をこなしている人気声優である。知名度的に、プリキュアの声優をやったら代表作はプリキュアで紹介されてしまう様なものだ。……と思ったらプリキュア声優もやっていた。「ハートキャッチプリキュア!」でキュアムーンライトだそうで。すごいなおい。ちなみに洋画吹き替えもやっていて「レオン」のヒロイン、マチルダ役は、吹き替えで観た人なら印象に残っているだろう。往年の人気声優ながら、現在も活躍しているすごい人である。上げておいてここから下げる。
声優と言えばラジオなのだが、一時期の声優ブーム期、一定以上の人気声優は大抵ラジオ番組をやっていた。いわゆるアニラジである。久川綾もいくつかラジオをやっていたが、代表作は「久川綾のSHINY NIGHT(シャイニーナイト)」だろう。しかしこの番組、アニラジと言えば声優の清純なイメージを守りつつ放送するのが一般的な中、異彩を放っており、深夜とはいえ下ネタ満載の番組だったのである。セーラームーン声優で! プリキュア声優にもなる! 女性声優が! 下ネタだらけのハガキを読む、というとんでもない番組だった。下ネタ投稿への久川綾のリアクションがさらにその上を行く下ネタ、生々しいリアルネタだったりするものだから、つまりもちろん大人気番組だった。たぶん久川綾のパーソナリティーがそうだったのだろう。下ネタに食い付きやすかったせいでリスナーからのハガキも下ネタにどんどん振れて行った。パーソナリティーのパーソナリティーのせいである。ちなみにそれなのに女性リスナーも多かったらしい。伝説の番組である。
さて、番組放送期間中に久川綾はCDを出している。声優ブームの中、これもご多分にもれず、声優は大抵オリジナルCDを作らされており、作詞をちょいちょいやっていたりもする。どこもかしこもそんな感じだった。そういう頃だったのである。久川綾の7枚目のシングル、「これは これで ありかな なんて…」。作詞、久川綾。歌詞の内容は髪を切ったけどこれはこれでありかな、みたいなそんな内容である。それはいい。問題は「シャイニーナイト」放送中に発売された事である。番組のエンディング曲にもなっているが、この曲のタイトルが格好の遊び道具になってしまった。
リスナーはハガキでしょーもない下ネタを送ってくる。くだらないエピソードである。それをこのタイトルで締める。簡単に例えると、「学校でウンコもらしちゃって、あだ名がウンコマンになっちゃったんです。でもまあ、これはこれでありかななんて……」。みたいなハガキが大流行してしまったのである。しょーもない、しょーもない、しかししょーがない。そしてくだらなくて、非常に面白い。内容もこの展開も面白い。要するに「これは これで ありかな なんて…」というフレーズの汎用性が非常に高かったという事だろう。そして下ネタととても良くフィットしたため、相乗効果でおげれつ方面へ大フィーバーしてしまったという。まあ、新しいブルマ役の声優、久川綾とはそういう人物である。ブルマ……、なんでもない。