「大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U」
出典元、任天堂から発売されたゲームの、タイトル。ゲーム業界を代表する超人気シリーズである。
通称「スマブラ」。シリーズとしては最初の作品はニンテンドウ64のソフトで「ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ」というタイトルだった。任天堂のキャラクターのみの大乱闘である。任天堂キャラクターを集めての、同時対戦アクションものなんだな、というのが初めの世間の認識だった。実際、初代ポケモンの発売当初の様に、最初はそれほど話題にならなかった。発売元が任天堂なのでテレビCMはしっかり流していたものの、初週の売上は大したものではなかった。しかし、プレイした人づてでゲーム自体の面白さが広まり、次第に小学生から火が点き、大ロングセラーになった。発売から1年ほど経った頃に、新しいCMを作って流していたぐらい息の長いタイトルだった。こうしてキラーソフトは誕生した。
次回作はニンテンドーゲームキューブの「大乱闘スマッシュブラザーズDX」だが、ここから「ニンテンドウオールスター!」の表記が消えている。そう、任天堂以外のメーカーからのゲスト参戦が始まったのである。それからはもう、本当に良い意味でのキャラ数のインフレ、機能のインフレ、おまけ要素のインフレ、音楽への凝り方のインフレと、中身的な意味と著作権管理的な意味でゲーム業界を代表する”作るのが大変そうなソフト”へと進化を遂げていく。毎回、これが最後と思って注げるだけの力を注いでいるらしい。制作総指揮は「星のカービィ」の生みの親である桜井政博氏。天才クリエイターが環境を完備されて好きにしていいと言われたらこんな事になる、の分かりやすい悪い見本である。
ただ、制作者にとってはとても大きなしがらみが発生してしまった事だろう。クリエイター冥利に尽きるとも言えるが、逆に言えば作るのに3年とか掛かるタイトルを、ハードが出るたびに作り続けなくてはならない。それほど問答無用に売れまくる、超人気タイトルになってしまったのである。桜井氏は一時「スマブラ」以外のタイトルを作るためという事で独立し、個人会社を作ったが、結局その後も任天堂に頼まれてスマブラを作っている。ユーザーにしてみれば、新ハードが出たなら是非とも発売してほしいタイトルであり、任天堂にとってもそうであり、株主にとってもそうであり、桜井政博氏にとっては作り続けなければならない”呪い”に掛けられたようなものだろう。まあ、先に言ったようにクリエイター冥利に尽きるとも言えるのだが、他の大きな新しい事が出来なくなるのも確かである。「スマブラ」はそういう圧倒的なブランド価値が付いてしまった。
さて、「DX」のあと「X」が出て、続くタイトルが「for Nintendo 3DS / Wii U」である。「3DS」向けと「Wii U」向けなので別々の作品ではあるのだが、同時開発であり、多少の違いはあれどメイン部分である出演キャラクターは同じで、発売日も多少ずれたが実際は同じタイトルである。発売日的には一応、「for 3DS」が4作目で、「for Wii U」が5作目ではあるが、同じタイトルを別々のハードで出したマルチプラットフォームという扱いなのは名前で分けていない事からも分かる。初代が「初代」や「64版」、「DX」と「X」はそのまま、で呼ばれているが、それではこれは何と呼べばいいのか。
通称「スマブラ4」。
なるほど。同じタイトルと考えると「スマブラ」シリーズとしては4作目なんだ。「4」は「four」なので「for」ではないし、桜井氏もそういうつもりじゃなく偶然だったと言っているようだが、でも明らかに狙っているよね、と思った人も多いだろう。逆に言えば、じゃあどう略せばいいんだよ、って話にもなる。「フォースリーディーエス」、「フォーウィーユー」じゃ、何のソフトか分からない。「Z」でも「ゼロ」でも「Special」でも付けていればそうはならなかったはずなので、やっぱりそういう事なのだろう。「Special」は結局、この次回作の「ニンテンドースイッチ」版のタイトルで使われた。「フォー」のタイミングで特殊な同時発売をした事により、なんとなく、ナンバリングの難しいシリーズになってしまったのだろう。しかしまあ、ばんばか続編の出るタイトルでもないし、未来に渡ってまた2ハード同時発売がないとも限らない。「スマブラ」はこれからもナンバリングをしないネーミングで新作を出して行くのだろう。