言の葉の魔力

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ゲーム

「私の ただいちどの はいぼく!」

投稿日:2017年4月10日

「私の ただいちどの はいぼく!」

出典元、ゲーム「ロマンシング・サガ」より、ラスボスであるサルーインのセリフ。

当時スクウェアから発売されたスーパーファミコンのゲーム、「ロマンシング・サガ」。RPGとしては異色の8人のキャラクターから主人公を選べるという斬新なシステムを導入し、さらに、フリーシナリオシステムで進めていくストーリー展開もプレイヤーの自由という挑戦的なゲームである。どのキャラクターを選んでも冒険する世界は同じなので、このエリアのクエストならこうやって攻略してこのボスを倒す、という様なブロックとしての流れは同じなのだが、どこから攻略して行くかを自由に選べるためプレイヤーごとに違う冒険をする事になる。

つまり人によってプレイ感想が異なる。

それが新しい面白さであったし、そもそも主人公の8人は立場も出発地点も違うので、初めから8つの大きな選択肢があると言えるゲームである。友達との会話で自分とは違ったキャラと冒険譚を聞いているだけで面白かったりする、なかなか凄いゲームである。仲間キャラクターもたくさん登場するのだが、選ばなかったほかの主人公7人も仲間候補キャラとして登場するので、要素としてその部分は非常においしい。パーティメイキングの楽しさもこのゲームの特筆されるべき面白さの一つであり、シナリオだけでなく使用キャラクターや武器など、全体的にフリーな部分の多いゲームである。ただし、仲間を選ぶ際に何度もチャンスがあるとは限らず、一度手放した仲間にもう一度出会えるとも限らない、残酷な一期一会が存在する。自由だとは言ったが親切設計だとは言っていない!

という様に攻略の順序はかなりプレイヤーごとに枝分かれするフリーシナリオシステムだが、ストーリーが終局に向かい、待ち構える最終ボスはサルーインただ一人である。ラスボスまで複数用意するのはさすがに開発者もしんどかったのだろう。そしてこのサルーイン、ラスボスな上に神の一人なので知性もあり、戦闘前に長々としゃべるのだが、その過去を悔い、復讐に燃える重いセリフからプレイヤーのインパクトを根こそぎ持って行ってしまうのが、今回のセリフ、ひらがなでの「はいぼく!」である。

時はスーパーファミコン時代。当時は文字の多いRPGというジャンルになかなか漢字は使えなかった。そんな頃、全部ではないにしろセリフに漢字を混ぜて来たのが「ロマンシング・サガ」である。解像度的都合だったのか、ひらがなが小さく、漢字はひらがなより少し大きく表示された。珍しい吹き出し形式のセリフウィンドウもあって、結果的にその対称が非常に個性的で美しい仕上がりになっている。

「私の ただいちどの はいぼく!」

しかしなぜここで「はいぼく!」を「敗北!」に出来なかったのか。全部ではないにしろあと2文字、「敗北」のこの2文字だけでも、漢字に出来なかったのだろうか。舞台は最高潮、ラスボスの独白にプレイヤーのテンションもマックス、最終バトルへ向かうこのタイミングで……、プレイヤーの鼻から息が抜ける事態が発生してしまったのである。しかしここで脱力させた効果という事もないだろうが、サルーインはゲーム史に残る「強いラスボス」としてユーザーの記憶に残る事になる。

しかしサルーインと言えば「はいぼく!」を連想する人がいるほど印象に残る、残ってしまったセリフであることも確かである。ひらがなを割り当てた時、その開発者の頭にも「ちょっと間抜けな感じになるなあ……」という想いは去来した事だろう。これを狙ってやっていたとしたら大したものだが、そんなはずもないだろうし、その印象がサルーインの知名度に一回り大きな輪を掛けてのちに語り継がれる事になるとは、まあ、予想し得なかっただろう。







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