「じつは、1枚でいける。」
出典元、JRだかバス会社だかの宣伝ポスターのキャッチコピー。ペンギンとロボットの絵。
見た時、「馬っ……」と思った事があるキャッチコピーである。非常に分かりやすいキャッチコピーで、説明も簡素で十分伝わるものが添えられている、良い出来のポスターだった。内容は簡単に説明できる。電車で使うSuicaと、バスで使うPASMOがあるが、Suicaはバスでも使えるし、PASMOも電車で使える。残高も共有出来る。つまり、「じつは、1枚でいける。」のである。
なぜ「……鹿じゃないの!」と思ったかと言えば、決まっている。「じつは、1枚でいける。」ようになってからかなり長い期間をおいて、やっと出て来たポスターだからである。SuicaやPASMOが使われるようになって、これまでの定期やバス共通カードからの引き継ぎ、共有期間があったとはいえ、電車とバスの両方を毎日使っている人はそれなりに多い。毎日というのは通学でも通勤でもいいが往復なので一日二回である。もっと個別の乗り継ぎがあればさらに倍々である。
このポスターを見て「え、そうなの?」と知った人も多かっただろう。というか、「じつは」と書いている時点で認めているはずである。1枚でいいのに2枚使っている人がその時点でかなりの数いた、という事である。これはどう考えてもJRだかバス会社の怠慢であり、公共交通機関の利用者への負担増大を、長期間放置していたという事に他ならない。
このアナウンスの遅れにどれだけの労力の無駄が生じたか……。手持ちのカードをなるべく増やしたくないと思っている人はたくさんいるはずである。しかもよりによって、公共交通機関という同じジャンルのカードを2枚持ちしなければならなかった……、と思ったらしなくて良かったのにしていたのか! という話である。この徒労感は半端ではないし、利用者は怒っていいし、担当者は怒られた方がいい。
複雑なシステムだし少しずつ相互利用範囲を増やして行ったこともあって、ICカード化は良くやったものだと思う。しかしどれだけ大きな会社だと思ってるんだ。システムが複雑なら、それだけ広報も力を入れて宣伝しなければならない部分だっただろう。チラシを配り、車内アナウンスをし、受付で説明の特別席を設けて懇切丁寧に説明して然るべき案件だったはずである。そうしていれば、結果的にはJRやバス会社側の負担も減っただろうに。
とりあえずこの件に関しては、「じつは」を入れた事に反省の色が見られるため、情状酌量の余地があるが、是非とも次に生かしてもらいたいエピソードである。