「コーヒーとココアのおいしい関係」
出典元、乳飲料と思われる「モカジャバ」のキャッチコピー。なにその名前、と知らない人と知っている人とで大きく別れる名称である。
美味しい物と美味しい物を混ぜたところで美味しい物が出来上がるとは限らない。しかし大体分かる部分もあると言えばある。「食事」は日々、人々が繰り返し行っている行為だからである。
広義には、コーヒーになにかを加える、特にココアやチョコレートを加えた飲料を「モカジャバ」と言うらしい。かつてグリコだかエルビーだかが500mlの紙パックとして販売し、一斉を風靡した。今はもう売っていないと思われる。しかし2018年現在、検索すると「モカジャバ」の名前は普通に使われていて、「モカジャバカフェ」というものが日本各地にあるらしい。そりゃあ、コーヒーを出す喫茶店が日本全国にある様に、コーヒーの亜種である「モカジャバ」が”そういうもの”として確立しているならば、なくなる道理は無いのである。なぜなら、美味しいから。
コーヒーと炭酸を混ぜたら美味しいかと問われれば、眉をひそめる人は多いだろう。同様に、コーヒーと紅茶も首をかしげるに値する。どちらも単体としては美味しいのにも関わらず、だ。”系統が違う”。では、「コーヒーとココアを混ぜたらどうか?」と問われた場合、それは「おや?」に値するポジティブシンキングが舌の上で行われるだろう。”系統が近い”。そしてどちらも甘くして混ぜてみました、それが「モカジャバ」である。もちろん実際には上手い具合に調整し、チョコレートなどの隠し味もあったかもしれないが、事実、コーヒーとココアの中間の味のくせに美味しいとこ取り、まさに美味しいとこが組み合わさった、美味で甘い飲料が出来上がった。ちなみにパック飲料が主流だったのもあって冷たくして飲むのがメインだった。
同じところが出した、ちょっと改造した亜種が多少失敗していた記憶もあるので、意外とデリケートな調合、マリアージュが発生していたのではないかと思われる。確かにコーヒーもココアもミルクも、家にあるものなので混ぜるという行為は簡単である。しかしその「モカジャバ」が流行る前は、存在はしていても全く知名度がなかったと思われる。つまり家でなんとなくの割合でさくっと作っても、全然美味しくなかったはずなのである。あとチョコレートを飲料として飲むというのも日本人にはやや縁遠い。そのため、チョコレートも使ってコーヒーとココアを上手く配合した「モカジャバ」が生まれたのは、やはり企業努力のたまものだったのだろう。まさに
「コーヒーとココアのおいしい関係」
だった。上手いキャッチコピーと同時に上手い調合を成功させた美味しい飲料だった。なぜなくなってしまったのかは、謎である。
飲んだ事のない人に、頑張って文字で味を説明してみると、「アーモンドっぽい風味のあるココア」である。……。……。
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