「続、そして終。非、そして反。」
出典元、「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」のポスターより。
今のところ意味不明のフレーズである。が、公開された後に意味が分かるかどうかも疑問であり、意味不明のままかもしれない。そしてそう思っている人も多いぐらい、エヴァンゲリオンはこういった謎の仄めかしが多い。
「新世紀エヴァンゲリオン」は1995年にテレビシリーズが公開され、その後、総集編や完結編の映画を何本かやって一度は完結した作品である。が、数年後、”再構築”ということで「ヱヴァンゲリヲン」と改題し新劇場版4部作の制作が発表された。4部作と言っても最後の2本は同時公開で、時間も短めのを2作、と最初は言っていた気がする。副題も最初の発表では「序」、「破」、「急」、「?」だったか。
「序」が公開された時は、なんかちょっと内容変わってるけどまあ総集編なのかな、というのが観た人の感想だっただろう。最新のCG技術を駆使した戦いもやってくれた為、力も入っていたし非常に見応えがあった。
続いて「破」が公開、またまたテレビシリーズとずれていきながらもある程度はなぞった展開、見たかった何体かの使徒との戦いもド派手になって、初期からビジュアルの出ていた新劇場版オリジナルキャラのマリが遂に登場と、監督の言っていたエンターテイメンとはこういうことか、すごい。とみんな思ったし、滅茶苦茶評価の高い作品になった。
問題は「急」改め「Q」である。いきなりガラリと変わってしまった。テレビシリーズの続き要素も全くなく、さらに舞台も14年後の世界になっている。使徒が攻めてきてエヴァが迎え撃つ展開ですらなくなっていて、空中戦艦ヴンダーと使徒が戦ったり、ネルフを相手にエヴァ同士が戦ったりと、何がどうしてこうなった? 状態となった。まず主人公のシンジが14年間の眠りから覚めて「???」の状態から始まるのだが、まさに視聴者と同じ「???」状態で、話が進むにつれて謎が解明されていくこともなく「?????」となり、最終的に「????????」で締めた。もちろん評価は最悪である。ひと言で言うなら「意味不明」。
しかし、むしろこの謎だらけこそエヴァの神髄よ、とネット上で考察班は動き出す。そういう意味では謎しかない「Q」で久々にテレビ版の頃の考察熱が復活したとも言える。よくよく見直してみると「序」や「破」でも、きな臭い布石はチラホラ出ていたし、「Q」についても繰り返し観れば全く意味不明でもない部分が出てきて、DVDとブルーレイが発売された後は考察が捗っていた。が、やはりヒントがなさ過ぎるのがどうしても問題で、「根拠がないから憶測の域を出ない」レベルの問題が山積しているのが現状である。
あえて一番の争点を上げるなら、タイトルだろうか。
一作目「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(:1.0)、
二作目「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(:2.0)、
三作目「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(:3.0)、
四作目「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」(:3.0+1.0)、である。
四作目が「ヱヴァンゲリヲン」から「エヴァンゲリオン」に戻っている。新劇場版は一応、初期に監督から、テレビシリーズとの関連はない旨が宣言されていたが、どういう事か。結局テレビシリーズの世界と繋がりがあるのだろうか。また、「:||」は予告では発音されていなかったが、これは演奏記号である。しかし一作目から三作目までにも「:」は付いているため、「:||」と読めばいいか「||」とだけ読めばいいかで変わってくるが、答えが出せない。これは、明らかに初めから仕組まれている。意味は「||」ならそのまま終わりで、「:||」なら「||:」まで一度だけ戻ってくり返し、最後まで行ってそこで終わる、である。……。
「旧」という文字が「||:」に見えない事もない。「急」を「Q」にしたのは「旧」だとあからさまなのでごまかすためにアルファベットにしたの、かも。そして四作目の副題は「:3.0+1.0」である。「Q」をもう一度やり直した上で「シン」で終わる、いや、「:1.0」ではないのでここで過去の「エヴァンゲリオン」へと繋がるのか……。さらに言えばテレビシリーズの劇場版は通称「旧劇」である。「旧」、「||:」、まさかね……。
そしてこの「続、そして終。非、そして反。」である。後半は分からないが前半は分かる。いや、「そして終。」は分かる。「続」がどこからの続なのか! 「Q」からの続なのか「序」からの続なのか、旧劇からの続なのか、はたまた「破」からの続なのか。これは2回目の「:3.0」、そして「not」のありなしやゼロの空集合説などからも可能性が指摘されている。まったく、一つ情報が出るだけで侃々諤々である。
これだから、エヴァンゲリオンは面白い。