「アイシング」
出典元、治療名。及び、スポーツにおける体への負担軽減などに用いられる行為。
プロ野球でピッチャーが投げ終わった後に、ベンチで肩に何かを巻いているのを見た事がある人も多いかと思うが、あれである。ひと目見るとケガかな? という印象を受けるが、ただのアイシングである。つまり冷やしている。熱くなった筋肉を冷やすことにより、色々と医学的な意味合いはあるのだが要するに、疲労を溜まりにくくしたり、筋肉痛になりにくくしている。ケガもしにくくなるらしい。別にプロではなくても、高校野球とかでもやっている。いつの間にこんなものが常識に……?
昔はスポーツは、ノリと根性でやっていたものである。運動中に水を飲むな、ウサギ跳びをしろ、毎日筋トレしろ、など。常識は変わってきた。人間も真実も変わっていない。科学的に効率の良い方法が周知されて来ただけで、頭の良い人が、効率のいいトレーニング方法を教えればこうなる。今はマラソン選手も水を飲みながら走るし、ウサギ跳びはケガをしやすいから行われなくなったし、筋トレも負荷と超回復の効率的な運用が重要になっている。もし今、昔のノリで生徒に無茶をさせている教師がいたら、正当な権利として吊るし上げた方がいい。間違っているのだから。
マラソン選手が頭から水を被っているのだってアイシングだし、サッカー選手も足に水を掛けたりしている。野球選手はやはりピッチャーが目立つが、投球の後は肩を冷やす。「アイシング」と言われると格好いい専門用語みたいだ。実際に医療用語なのだからそういうイメージを持つのも仕方ないかもしれない。「i see」、なるほど、に似た、……いや「ice」、氷か?
「アイシング」、「アイス、イング」。「ice-ing」、えっと正式スペルは……、「Icing」だ。嗚呼、「アイスってる」だけか!
共感は得られないかもしれない。しかし医療用語から来たこの「アイシング」が「氷ってる」と言われると肩の力が抜ける。せめて冷やしている、えっと「cool」、冷やす。「cooling」あたりにできなかったものか。いやでもこれだと「クーリングオフ」に似てるのでこれもまた紛らわしい。名称の語源について文句を言っても仕方がないが、感じなくてもいい違和感を感じたい時は、特にカタカナ英語を分解してみるといいだろう。
たま~にある、格好いい言葉だなと思ったものが何かしょぼいというかよく考えたら素朴な語源だった、というしょぼーんとなるアレである。この感情には名前はない。