「コークスクリューパンチ」
出典元、森田まさのりの漫画「ろくでなしBLUES」(ろくでなしブルース)にて、主人公の前田太尊(まえだ たいそん)の使用する技。「スクリュー」、「スクリューフック」とも。
漫画上でもいくつかのパターンを使っているが、ボクシング的には一般に「コークスクリュー・ブロー」と言うらしい。「ろくでなしブルース」はヤンキー漫画なので、ケンカでは足技も使うが、前田太尊は基本的にはボクサーである。なのでメインとしてパンチを使い、特に強力なのが下からのパンチ、アッパーカットだった。そしてボクシングで言う「コークスクリュー」とは、スクリューの様にねじ込むように放つパンチである。試合で使用するのがどこまで現実的かは分からないが、通常のパンチより威力が上がるらしい。まあ素人目にも強そうなのは分かる。
「ろくでなしブルース」で太尊がそれを知ったのは偶然だった。ゲームセンターのパンチングマシーンで、いい記録が出ない。一番得意なアッパーカットならもっと出るのに……、と思うがもちろんパンチングマシーンはストレート用の造りである。体勢をちょっと頑張ればフックは当たるかな、というところだがアッパーは厳しい。太尊も何とかアッパーで当てられないか工夫してみるが相手は機械、不可能である。そこで妥協案、アッパーからパンチを打ち始め、途中からフックにして的に当てる。これはなんとか当たったが、ここで太尊は感覚として「スクリュー」というものを掴む。
つまり外側から内側にねじ込むように放つパンチである。その後は普段からパンチ以外でもたびたび拳を回転させる描写が見られ、遂に「コークスクリュー・ブロー」、そして「コークスクリューパンチ」をものにする。太尊の最強技がアッパーカットから「スクリューパンチ」になったのだ。最終的には高難易度カウンター「ライト・クロス」を「コークスクリューパンチ」で打つという芸当まで見せてくれる。「ろくでなしブルース」はヤンキー漫画とはいえ、週刊少年ジャンプで連載されていた漫画である。つまりどういう事かというと、
読んだ少年が真似したがりまくった。
仕方のない事なのである。しかも「かめはめ波」どころの話ではない。あれは撃てる人が限られる。しかし「コークスクリューパンチ」は頑張れば”なんか出来そう”感が凄いのである。現実のボクシングにもあるからだし、実際ゆっくりやれば誰だってその動きは出来る。単に実践の場が、ボクサーにでもならない限りない、というだけの話である。別に実際にケンカをする訳ではないが、子どもは子どもでちゃんばらもじゃれ合いもちゃんと力加減をして楽しむのである。「えーい、コークスクリューパーンチ!」という微笑ましい遊びがそこに生まれたのではないか。まあ、元はヤンキー漫画なので、そこまでは微笑ましくもないが。……とにかく分かりやすいしモーションも格好いいし名前も格好いい、少年たちが真似したくなる必殺技だった。
本ページの情報は2023年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。