「ああ 心に愛がなければ スーパーヒーローじゃないのさ」
出典元、串田アキラの歌「キン肉マンGo Fight!」より。歌詞の一部。作詞は森雪之丞。
アニメ「キン肉マン」のオープニング主題歌である。懐かしのアニメソングなどでよく流れるので、当時アニメを見ていなかった人でも曲を聞いたことはあるだろう。
キン肉マンなんて、もうそのネーミングの時点で、あ、ギャグかな、ってちょっと笑っちゃうみたいな名前で。主人公のキン肉マンは見た目かっこ悪いし、ドジで、愛されキャラ、でも時にはかっこいい、みたいなキャラだった訳で。漫画がアニメ化したって牛丼好きのドジな三枚目主人公は、声優の神谷明のパワーもあり色々とギャグ漫画に片足をつっこんだ領域だった訳で。主題歌だってキン肉マンなんだから「私は(ドジで)強い(つもり)」なんてつっこみが入る、ギャグ寄りの歌詞である。……が、そこへこのサビである。
「ああ 心に愛がなければ スーパーヒーローじゃないのさ」
格好いいじゃねーかーーーおい! と言わざるを得ない。「飛び散れキン肉ビーム」とか言って油断させといてサビがこれである。もう、ひと言で持って行っちゃうアレである。曲ももちろんいいが、やはりとんでもない強フレーズと言わざるを得ない。この歌詞が心に染みた人はとても多いだろう。そう考えてみると、それまでのギャグ調の歌詞ともい~いバランスが取れていて、全体を通してとても印象に残る歌となっている。
作詞は森雪之丞、……というか、この人あちこちで見かけすぎるので、本当に実在するのだろうか? アニメ会社のサンライズが会社のペンネームとして使っている矢立肇のように、共同ペンネームとかじゃないか……、と思って調べたら普通に実在している一人の人間のようだ。ただの多才だった。
けれども実は”決めつけ系の歌詞”は少し危険なのである。キン肉マンを名指しではなく、スーパーヒーローについて語っているのである。これはこうあるべき、と言い切ってしまうので、もし違和感を感じた人がいたらその違和感はずっと残り続けてしまう。「男子はこうあるべき」、「女の子はこうなのよ」系でたまにあるやつである。しかし、だからこそこの歌詞は上手い。心に愛がなければスーパーヒーローじゃない、そうだ、心に愛があるから、あのヒーローも、あのヒーローもスーパーヒーローなんだ、この言葉には細かい疑問を吹き飛ばす「そうか、そうだよな!」と思わせる力がある。もうとにかくかっこいい。
ちなみに2番のサビは、
「ああ 果てない夢を追いかけ スーパーヒーローになるのさ」
である。これもまた良い。