「カッコ悪い道を選んだ男 カッコ悪い夢を選んだ男」
出典元、爆風スランプの曲「旅人よ~ The Longest journey」より。歌詞の一部。作詞、サンプラザ中野。
1996年発売の曲である。当時、非常に話題になっていた猿岩石のユーラシア大陸横断ヒッチハイクの応援歌として作られた。ちなみにこれは2番の歌詞である。
曲自体が非常に格好いいが、歌詞もまた熱い上に、猿岩石の無謀とも言える旅を彷彿とさせるものとなっており、とても共感を呼ぶ歌である。サンプラザ中野、現在はサンプラザ中野くんだが、彼の歌唱も素晴らしい。旅の終了時には本人たちの前でライブされた。
物議をかもした部分もある猿岩石の旅だが、まあ例え一部ごまかした部分があったにせよ、大部分は本当に苦労して、言葉も伝わらない国々を旅し、大変な思いをして来た事だろう。まさにそれを表現しているかのごとく、歌は綴られている。
「36.5度のカラダで 乗り越えなければならないんだな
36.5度のカラダで しっかりしなけりゃならないんだな」
熱のある中でも頑張ったか、と思いがちだが、これは平熱である。一個の人間として、キツすぎる旅をしている事を表現しているのである。これが平熱というところがいい。とてもいい。猿岩石、当時は売れない若手芸人だっただろう。「電波少年」の企画でこんな無茶振りを振られて、もちろん選択肢はあっただろう。二人組、カメラさんもいるだろうとはいえ数か月間、言葉の分からない国で飛び込みの連続である。日本に居るときと比べて身の危険の高さも計り知れない。しかし道中はずっとテレビに出られるし、成功した時は見返りも大きいものになるだろう。このまま日本で自分たちの力を試すのもいいが……、と、苦渋の決断だっただろうが、つまり、
「カッコ悪い道を選んだ男 カッコ悪い夢を選んだ男」
カッコ悪い道と、夢を選んだのである。まさに猿岩石に送る曲である。これだけマッチする歌詞があるだろうか。歌詞全体を見ても非常に考えられて作られている事が分かる。名曲である。
現在、有吉だけになってしまったがそれも別に有吉だけが残ったという単純な話ではない。一度猿岩石ごと忘れ去られたあと、猿岩石を解散して有吉だけ自力で上がって来たのである。そして現在の活躍は見ての通りである。ピン芸人として不動の地位を築いている。毒舌キャラやあだ名キャラで上がって来たが、今はもはや大御所の安定感すら感じる位置にいる。この人を出しておけば安心、という評価を受けあちこちで使われ、テレビ出演数で日本一を取ったりしている。この若さでその評価はとんでもない事だが、視聴者からの受けもいいので納得の結果である。やはり、一度転落を経験をした人というのは強いのだろう。
「カッコ悪い道を選んだ男 カッコ悪い夢を選んだ男」