「ドラクエ歩き」
出典元、歩いている人たちに対して、たまに使われる表現。分かりやすいところでは、小学校の集団登校の光景などを指す。
「ドラクエ歩き」と言われてもなんの事か分からない人も多いと思うが、分かってくれる人も案外多かったりする表現でもある。日本においてゲーム「ドラゴンクエスト」の知名度はそれほどに高い。どんなものかと言うと、複数人が道に広がらずに一列になり、キッチリと間を詰めて歩く事である。「ドラクエ」において、フィールドでキャラはそういう動きをする。「ドラクエ」じゃなくて「FF」(ファイナルファンタジー)でもいいじゃんと言われそうだが、「FF」は複数人のパーティであっても先頭の一人しか表示されないのである。だから「ドラクエ歩き」。その意味では、「ドラゴンクエスト1」は一人旅なので「ドラクエ歩き」とは言えなかったりする。
「ドラクエ歩き」のもう一つの特徴として、機械的に先頭の人の歩いた順路に従うという点がある。雪の積もった道を歩く際、前の人の足跡に被せて歩く行為に近いのだが、雪も積もっていない、足跡も残らない舗装された道路でそれをやると、周りからギョッとされるだろう。3人ぐらいまではいいのだが、5人、6人になって来ると遊びでやっていると思われるかもしれない。右に進んでいるとして、→↓→↑→、と先頭の人がなにかを避けるように進んだ場合、後続も同じ様に→↓→↑→と進む事になる。それが電柱を避けるためだったとしたらいいのだが、なにもない場所でそれをおこなったりするとなんだそりゃと思われるだろう。それをすぐ後ろにくっついて行うのである。普通の集団登校だって、先頭が変な動きをしても進行方向が変わっていないのなら、無視してショートカットするだろう。
他で発生する場面があるとしたら、繁盛店などの行列だろうか。並び方が厳密に定められている場合が多く、当事者しか分からない曲がり方などをして行列が生成されて、詰められている。開店などで整然と入店していくさまは、まさに「ドラクエ歩き」を大人がしているシュールな光景になるだろう。ズル込みをする人が多いと成り立たないシステムだが、そういうところで律儀なのが日本人なので、神妙にルールに従っていたら大真面目な「ドラクエ歩き」になっていた、というパターンはあちこちに多いと思われる。綺麗に行っているところを動画で見たい。
結局のところちゃんとした用語で一番近いものは「一列縦隊」だと思われるが、そこにややアレンジが加わったものが「ドラクエ歩き」である。「じゅうたい」って言われると「渋滞」が頭に浮かんでしまうし、表現は分かりやすければ勝ちである。ただ母親が子どもに「ちゃんとドラクエ歩きしなさい!」と注意するシチュエーションも浮かばないのが叱られがちなゲーム用語の弱さか。いや、そういうところに侵食していくのがゲーム側の戦い方だったりするのかもしれない。
#一体みんな誰と戦っているんだ